初めて読んだのは、英語版の“Fox’s Dream ”ですが、娘に「日本人が描いた本だよ」と言うと、とてもうれしそうに、興味を持って聞いてくれました。“Tejima”の名前が一躍広まるきっかけとなった作品ですね。
遠い北の森で、雪の中を獲物を求めて歩くキタキツネ。足音のほかには何も聞こえない静かな月明かりの夜、見たこともない幻想的な世界に迷い込みます。
まるで生きているかのように鋭い輝きを放つキツネの目。明らかに野生動物の目です。月光に照らされた青白い雪の冷たさも、キタキツネの後ろ足やしっぽを通して伝わってきます。版画の美しさに、ただただ息をのむばかり。
「お母さんは、どこにいるの?」と尋ねる娘に、自然界の厳しさや北の大地に住む生き物たちのことなど、たくさん話しました。「北の森から」のシリーズ、すべて読んであげたいと思っています。