ぱらっとめくったとき、あ、字が多いかななんて尻込みしてしまったのですが(黙読、とても苦手です)、「レノアひめは、木いちごのタルトをたべすぎて、びょうきになってしまいました」という設定に心を奪われ、音読で制覇。音読が楽しい!お話でした。
ひめのために、なんだってもってきてあげようという父王に、ひめは「お月さまがほしいな」と言います。無理難題のように聞こえるけれど、ひめにはそんなつもりはないのです。(それは、あとでわかります)。ここがほかの「姫の望む物ばなし」とは違う、チャームポイントです。
王様は、自分の無理難題(この数々がまた楽しい)を解決してくれた大臣、魔法使い、数学の大先生になんとかしてもらおうと思うのですが、うまくいきません。
そこで登場するのが、リュートを奏でる道化師。彼の機知で、この物語は、素敵な結末を迎えます。
作者のジェームズ・サーバーは映画「虹を掴む男」の原作者だそうですが、私はまだこの映画を見たことがありません。しかし、昭和ひとけた世代の私の父母がこの映画を好きだという話を聞いたことがあり、むべなるかなと思いを深くしました。
挿絵もお気に入り。中川千尋さんの日本語訳も、素晴らしい。
1949年に翻訳された光吉夏弥さんの訳も、どこかで出会ってみたいと思っています。