【あらすじ】
くるみさんシリーズ、三作目。駅前にお店を持って3年目。よくにた名前の宅配パン屋さん「三日月ベーカリー」が登場し、くるみさんの商売が危うくなる展開。
最近人気のあるプリンパンなどのリサーチを始めるなど、企業努力をして現状を打開しようとするが…
今回も、不思議なご縁がさまざまくるみさんを助けてくれる。「三日月屋のパン」「プリンのパン」「七夕のパン」「台風のパン」「天狗のパン」「節分のパン」「デートのパン」の7つのお話をお楽しみください。
【感想】
売上がない!お客がない!ライバル店の出現などなど、実にリアルな展開で、くるみさんと一緒に働いている気分になりました。子ども向けのファンタジーとはいえ、大人の事情なども適度に描かれており、地に足がついたファンタジー作品です。くるみさんの現金収入の心配をしながらも、不思議な体験をすると「パン代はいいから」と気前よくやっているくるみさんの度胸に毎回関心します。
あまり儲からないけど、幸せな人生を送るのではないでしょうか、こういう人。
パン屋の話と言っても、お総菜パンとか、アンパンとか、割と昭和レトロの日本のパンを思わせる雰囲気があります。ほっとする感じで、ふわふわしすぎない、ここちよい物語の展開で、後を引くおいしさです。
このお話を読むと、どうしてもパンが食べたくなって困ります。プリンのパンなど、ちょっと前にブームになって今はあまり見かけない商品ですが、はりきって探しに出かけたくなりました。なければ作るしかありません。こんな時に、くるみさんのお店に電話をかけて注文できればな、と心底思います。
どなたか、くるみさんのようなパン屋さんを実現させてくださいな。よろしくお願いいたします。