作者のスヴェン・ノルドクヴィストさんの絵は、背景の細かいところまでこだわりがあり、じっくり物語の中の不思議な世界に浸ることができます。
作者後書きを読むと、一番最初の構想の時は、文章がなかったそうです。
『字の読めない子にも、絵だけ見て楽しむことができる』絵本を目指していたんですって。
《きいろい毛と赤いパンツ》のねずみのお姉ちゃんの姿は、実は各ページにこっそり描かれていて、それこそ、絵の中をじっくり見ないと見つけられません。
でも、この絵本の面白さはなんといっても「じっくり見る楽しさ」だと思いました。
お姉ちゃんを追いかけている弟の「ぼく」は、お姉ちゃんを見つけるため、お姉ちゃんがあんなことをいっていたとか、こんなことをやっていたとか、絵本の中からお姉ちゃんを探すためのヒントをくれていますが、よくよく何度も読んでみると、なんだかとても深い、哲学的なことを言っている気がしました。
邦訳が石井登志子さんなのですが、言葉の使い方がとっても素敵でした。
3,4歳くらいのお子さんから、小学校高学年のお子さんでも十分楽しめる作品だと思います。
特に「ミッケ!」のシリーズとかが好きな、絵やクイズは好きだけど、「本」はちょっと、というお子さんにぜひ、お薦めしたいです。