小川未明氏の童話。日本の人魚のお話です。
アンデルセンの「人魚姫」に比べると どうも怪談めいた感じがしていました。
でも この絵本からは そんな雰囲気よりも
お金とひきかえに売られた人魚の悲哀や
欲を抑えきれない人間の弱さ、悲しさを強く感じます。
こんなふうに感じたのは
人魚と海の生き物だけが描かれていることとも関係がありそうです。
絵は 私も娘も大好きな酒井駒子さん。
人魚の塗った蝋燭色の表紙と
黒を主体とした本文のページとのコントラストが
よりいっそう人魚の悲しい気持ちを引き立ている感じがしました。
また 大正時代に出版されたものが底本になっているようですが
そんな古さを全く感じさせない絵本でした。
娘の大好きな絵本です。