子育てと植物の栽培って似ていると思ったことがあります。
育てる方の意思だけではどうにもならないところ、環境を整えること、見守るところなど。
本の読み聞かせというのも軌道に乗せるまでの地道な取り組みはやはり子育てに通じるところがあります。
そんな訳で、渡辺茂男さんの書かれたこの本の題名はなるほどなあと思いました。
渡辺茂男さんといえば「どろんこハリー」はいうまでもなく日本の子どもたちがどこかで必ず出会う絵本作家さんであり優れた翻訳家でもあります。
渡辺さんが子育ての途中でお子さんに読み聞かせられた本・思い出、渡辺さんご自身の子ども時代の思い出などが語られていて、今まで以上に身近に感じられました。
新潮文庫から出ているというのも意外な感じがしましたが、その経緯もこの本の中に語られています。
付記を息子さんの鉄太さんが書かれていて、息子と私が何度も読んだ「さとうねずみのケーキ」(わが家では児童書を読む橋渡しをしてくれた本)が、渡辺さんの最後の訳本であることを知りました。
渡辺さんの老いを見守る目が、私自身が実母の老いと向き合う気持ちと通じるところがあり、別の意味で共感できました。
渡辺さんのご本らしく、絵本ガイドとしても読めますが、子育ての本としても読めます。
「親子のことを考える本」のシリーズとして出ているのもうなずける気がしました。
子どもに本を読むとは?どんな本を読んだらいいのか?と迷った時の指南書ともなりそうです。
ご一読をお勧めします。