かんざわとしこさん 堀内誠一さんという黄金コンビの作品。もうこれだけで間違いありません!が、この作品はこどものとも発表の絵本でありながら、神沢さんの小説「銀の炎の国」に匹敵する一大ぼうけん物語なのです。
この世の夜空は、一本の釘=北極星によって天に打ち付けてあります。クマばあちゃんのご先祖がその昔大はしごをよじ登り七度打ったのです。クマばあちゃんの家には親をなくしたハリネズミのはりっこが暮らしています。
でも、ある日空がグラグラしはじめました。誰が大蛇と闘い、目もくらむようなはしごをよじ登って釘を打つのか森の動物たちが頭を抱えました。その時大きな声で「ぼくがいく!」とはりっこが答えたのです。
この絵本の主人公はりっこは本当にかっこいい。でも、実ははりっこを背中に乗せて火を噴く大蛇の所まで駆けていったオオカミも格好いい。自分のできる精一杯のことをする姿は、はりっこと同じようにこどもたちの心をうちます。
そして私はクマばあちゃんも格好いいと思うのです。わが子同然に育てたはりっこが1人天にむかって旅立ち、そして天から降って帰った時に何といったか!「おかえり、あったかいスープを作って待っていたよ」なんです!ああ、本当にこういう母になりたい。こどもを信じて、その努力を心底ねぎらうことのできる暖かなスープを作れる人間になりたい。
この作品は「やさしさこそ強さを支える。強さこそ優しさが必要」そんな気持ちをこどもの心に育みます。