「スプーンはたべるときにつかうもの」という出だしで始まるこの絵本。スプーンにはいろんな形があったり、いろんなものをすくうことができるけど「でもスプーンにとってたいせつなのはそれをつかうとじょうずにたべられるということ」。あたりまえのことなのに、ふんわりとした語り口とひらがなとカタカナの文字が心に染みわたります。それぞれがそれぞれ、大切なことをもっている。それぞれがそれぞれらしくあること。それ以上でもそれ以下でもなく、そらはそこにあり、ひなぎくはしろくある、それが大切なこと。最後のページでは心がほんとに温かくなります。「あなたらしくあること」という言葉が普段忘れかけていたことを思い出させてくれて、励まされるような気がします。当たり前のことのようで難しく、忘れやすいこと。そんなことをやさしく教えてくれる素晴らしい絵本です。小さな子供から昔子供だった大人まで、ぜひ読んでもらいたい絵本です。