幽霊もので、ドロドロしている、昔ながらの笛と太鼓の効果音が似合う作品。
落語的なので、生きている側の人間は極めて明るい。
幽霊も、ちょっと変なご近所さん、くらいのノリで、普通に付き合っている。
そこがすごい。対等な関係。
絵本の世界は、お化けや動物や、いろんな人間以外の登場人物が普通にしゃべってみたり、種族を超えてお付き合いをしたり、一緒に暮らしたりするものだけど、それを知っていても、なんだか妙な塩梅。
自分が、お化けや動物なんかと、話をしなくなって久しいからかしら。
幽霊が出るのが実に自然な感じで、好ましい。
否定していた人たちも、一度幽霊にあったら、ちゃんと存在を認めて、幽霊問題にしっかり取りくんでいる姿勢も、好ましい。
幽霊も幽霊で、自己主張が激しく、肉体がないくせに欲しいものは全部手に入れる。実に根性のある、行動力のある、変な幽霊。
怖くはないけど、こんな幽霊みたいな人が近くにいたら嫌だなあ。リアルにいそうな感じがする、という意味では、怖い。
キャラクターが全員、面白い。絵本を閉じても、勝手に動いて、生活して居そうな、そんな人たちです。
この人たち、その後、どうなったのだろう?
そもそも、この幽霊は何が原因で死んでしまったのだろう?
どうして、この世にとどまっているのかしら?
成仏できるのかしら?(成仏したいとおもっているのか、そもそも疑問)
絵本を離れても、いろんな想像ができる作品です。
絵も、くねくねしていて、お化けっぽくてステキ。湿っぽい幽霊感と、長屋の明るいカラッとした感じが同時に楽しめます。