たくさんの本が並んだ本棚の中から、子供自身が引っ張り出してきました。
背に小さな電車が描いてあるから、というジャケ借りでした。
私は内容を見ず、子供と一緒に読み進めました。
子供はもちろん電車が走る様子を楽しみに読み(見)始めたのですが、
自動車やバイク、タクシー、飛行機、ヘリコプターや船にボート、
そして救急車まで、いろいろな乗り物が出てきます。
こちらも「バイクだねー」「ピーポ(救急車)が隠れているよ。どこかな?」
など、隅々まで絵を見て楽しめました。
また、乗り物以外にも、商店街やお花見、お祭りなど
人間の営みが暖かいタッチで細かく描かれていて、洛中洛外図のような楽しさがあります。
同時に、猫やコクマルガラスがどこかに描かれているので、「ウォーリーを探せ」のように探しながら読むのもまたよし。
読むたびにさまざまな楽しみ方ができます。
肝心の電車の方は、運転方法や「チンチン」の鳴らし方、
電車用の踏切信号の読み方から電気を取る仕組みまで簡単に解説してあります。
1歳の子供には難しいのですが、それでもこの絵本を読んだ後は
踏切を見かけると「あ!」と言って、信号を探すようになりました。
お話は、「ひいばあ」が実は戦争中に運転士だった、というもの。
戦争って何?とか、男性が出征で不在だったから…とかいった説明は一切ありません。
そういった背景の説明は、親にゆだねられています。
きっと10歳くらいまで読める、奥の深い作りになっています。
丁寧に描かれた絵、過不足のない文章、奥の深いテーマと、
作り手の思いを何重にも感じられる、とても良い絵本でした。
1歳児がジャケ借りするくらいですから、訴求力も抜群(笑)