有名なO.ヘンリーの作品ですが、こんなに若い夫妻だったとは今まで知りませんでした。若いけれど生活は苦しく、でもお互いに愛情を持って生きている夫妻。クリスマスのお話であれば、こんな夫妻にこそ神様の奇跡が訪れてほしい、それなのにお互いを思う心が、結果としては愚かな(でも二人の人生の中ではとても素敵な)行為となります。
私は妻であり母ですが、「無償で家事をしているのに誰も協力してくれない」「家族がもっとこうであったら」「もっと豊かに暮らせたら」・・と自分が犠牲になっているかのような不平不満がいかに多かったかと、この絵本を閉じて情けなく、溜め息が出ました。
同じ女性としては美しい髪をなくしたデラがかわいそうでなりません。私ならしばらくはショックで立ち直れない。でもデラは「すぐにのびるから」と優しい気遣いを見せるのです。こんなきれいな心の持ち主のデラならば、いっそう瞳が輝き美しく見えるかもしれません。金時計を取り戻すという目標のもと、二人がいっそう心を寄せて暮らしてほしいと願ってやみません。
不況で閉塞感の漂う日本の今の時代にこそ、受け入れられる内容かと思います。多くの若い人達に、大人達にも読んでほしいと感じました。