こぶしの花が咲いたら、くまの父さんは帰って来ます。
くまの子は待ち遠しくて、白い鳥をこぶしの花と見間違えてしまうほど。
父さんに憧れるあまり、くまの子は朝食のホットケーキを父さんと同じ枚数、
はちみつも同じだけかけて欲しがります。
とうとう、こぶしの花が咲いて、父さんが帰って来ました。
くまの子は、父さんを森へ散歩に誘います。
父さんは肩車もしてくれるし、ぼくを背中に乗せて泳いでもくれるし、
橋が流されていれば大きな木を折って川に渡してくれます。
なんでも出来る父さんって、本当にすごい!
くまの子は誇らしくなって「父さんの子で嬉しいよ、すごく父さんらしいもの!」と言います。
それに対し 父親は淡々と、
「俺はただ、くまらしいだけさ。くまだからね」と答えます。
絵本には書かれていないけど、くまの子は その答えにすら
「父さん、カッコいい〜♪」と、分をわきまえる凛々しさを感じ取ったことでしょう。
翌日の朝食。
くまの子は、自分の分をわきまえた量だけホットケーキを欲しがり、
お母さんは「あれ?」と、その変化に驚きます。
「ぼくね、父さんになってから6枚にするの。
でも、バターはたっぷりね。
ぼく、くまらしくならなくっちゃ、いけないんだ」
くまの子は、父親をまねて「くまらしく」と言うのでした。
この絵本の全編にわたって、くまの子の「父さん、大〜好き!」と、
父親を誇りに思い、憧れる気持ちが素直に出ていて可愛らしい。
大人は難なくこなしてしまうことでも、
子供からしたら「すご〜い!」と尊敬の眼差しでみてくれていることって、ありますもんね。
お父さんが読み聞かせしたり、パパッ子に読むと、
子供が目を輝かせて聞き入ってくれそうですね。