ももこのお父ちゃんは、戦争に行ってしまい。優しかったおじいちゃんは、人がかわったように怖くなったという。
ももこは、脳性麻痺で上がれると思っていた小学校も役所から来なくていいと断られてしまう。
唯一、家の中から出られない彼女の心を和ませてくれるのは、離れに越して来た双子の腕白な男の子達。
それでも、時には、目の前で爆撃にあい、あわやのところを難を逃れたりする。
現代でも、障害を持っている人間が生きやすいとは、言い難いのだが、この戦争の時代の彼女達の居場所は、本当に家の外には考えられなかったのではないだろうか。
皆、自分達が今日生き延びるだけで精一杯だったであろう。
そんなももこの目線で、戦争の時代を描いた絵本なのである。
今のように、車椅子などない時代。外出には乳母車に乗り、誰かに引っ張ってもらわなければどこにも行けないのだ。
絵本の最後は、大阪堺大空襲のシーンで終わるのだが、はたして彼女が死んでしまったかどうかというところまでは、あえて描かれてはいない。
でも、到底生き延びられそうもない火の中にいるのである。
そして、火の中で助けてくれた双子達と共に、
「おかあさーん」
と、母を求める台詞で終わるのが、本当に切なくて、胸が苦しくなり、絵本の中に飛び込んで抱きしめてあげたくなる。
本当にこんなに悲しい戦争、すべてを燃やしてしまう戦争なんてもういらない。