人は大きな危機の時、或いは不意打ちの時に、その本当の姿が出てしまうものです。おそらく、ブタも。つまり、ジュールも。
一緒にいる女の子が、今にもオオカミに食べられる!という時、進んで自分の方から食べられようとするジュール。そのオオカミから漂ってくる香水の香りの名前を当てようとするジュール。ジュールはすごいです。
ギラギラ光る包丁を手にオオカミが近づいてきた時、何も持たない裸のブタにできることがあるでしょうか?普通はないと思うでしょう。それがあったのです!!前に立つオオカミを見据えながら、鼻に指を突っ込むジュールの表情には、ふてぶてしいような、全てをこれに賭けているような、そしてこの状況をどこか楽しんでいるような大物感が感じられます。そして、ハナクソをパクッ。ショックを受けたオオカミは包丁を落とします。しかし、また逆襲してきます。ジュールにできることは まだあるでしょうか?あったのです!!こんどは特大の臭いおなら。
最初読んだ時、子ども受けはするだろうけれど、汚くてばかばかしい話だと思いました。でも、ゆっくり再読すると、ジュールが偉大に思えてきました。「どんなに追い詰められていても、まだ、なにかしら出来ることはあるのかもしれない」と、思わぬ勇気をもらいました。
ジュールくん、これからはキレイに体を洗って、中身と同じようにいい男になってね。