私は、このお話が大好きです。単純なストーリーは一見、何がおもしろいのやら、と首を傾げてしまいたくなりそうですが、この話は、誕生の喜び、生まれてきてくれてありがとう、というピュアで骨太のメッセージに溢れています。これは、子供たちが一番聴きたくて、一番嬉しいメッセージだと思うのです。自分の力を信じるために、どうしても必要なたいせつなこと。何の飾りもなくシンプルにそのことを伝えてくれるこの絵本は、個人的には幼年期の必読だと思っています。
ブルーナの絵本の美しさは言わずもがなです。絵も色使いもとても洗練されていて、全てのものがきっちりと必要なだけ、必要な場所に収められているような印象を受けます。物語はシンプルだけど、ちゃんと子供の心に添って展開します。展開は早すぎず遅すぎず、絵とのバランスも絶妙で、子供が楽しむための要素を全て持ち合わせている、完成された絵本です。それゆえか、子供たちは大人が思うよりずっと長い間、この絵本を楽しみます。
お話会などで読むと、2歳半から8歳、9歳の子供たちまでじっと集中して聴いてくれます。こんな力のある本はなかなかありません。もちろん、もうすぐ5歳になる息子も、この本が大好きです。