読み終えた時に、これってレオ・レオニ自身の話ではないのかしら?と思いました。
つまり、自分の生涯を回顧した自叙伝かと。
親が子に望む職業と、子供がなりたい職業もしくは実際になった職業とが違ったり、
ギャップがあるのは多々あることですよね。
親ネズミが医者を望む理由が食べることに困らないで済む。とても現実的で、この話が
始まるのにうってつけな出だしだと思います。それに反して、親ネズミが医者になった
ところを想像している場面で、患者ネズミのお尻に聴診器をあてているレオニのユーモ
アがお茶目で、噴き出しそうになりました。
私には、残念ながら、絵画や芸術を見てマシューが食い入るように興味を覚え、今まで
見ていたものが違う物に見える瞬間という時は、私の人生にはやってこなかったけれど、
それが自分の内なるものに気付いた瞬間なんでしょうね。
きっと、芸術家として成功した人たちにとっては、よくあることなのかもしれません。
そして、マシューが見たような色鮮やかな夢は、起きた時に疲れていそうで、私は見た
くはありませんが、それだけ絵描きになることに対しての情熱があることの象徴なので
しょうか?
ニコレッタは、きっと、レオニの奥様のノーラのことかな? それだけ奥様を愛して
いらっしゃったんでしょうね。自分の選んだ人生に悔いないという感じなのでしょうか?
とても素敵な回顧録だと思いました。