ほわっとした楽しそうな絵の雰囲気からは想像もつかないほど、筋が一本びしっと通ったお話でした。
歯をそうじしにきてくれた仲良しの千鳥をうっかり飲み込んでしまったバンポ。年寄りのオウムの知恵を借りて、その言い付けどおり、何があっても、千鳥を助けるために、頑張り抜きます。他の動物たちにくすぐられても、からかわれても、人間に鉄砲を突きつけられ、命の危険にさらされても・・・。
娘も、じっとバンポのがんばりを見守っていましたが、バンポの口から千鳥が飛び出してきた瞬間、
口を大きく開けて、目を見開き、驚きと喜びいっぱいの顔で、私のほうに振り向きました。
思いやる心、耐える心、信じる心・・・そんな大切なことを、そうっと、やんわりと、教えてくれる絵本です。ただ、娘は、「この本、あんまり読みたくないの。悲しいお話だから。」と、ハッピーエンドにもかかわらず、娘にとっては、結末よりも、そこに行き着くまでの出来事や気持ちの変化のほうが、強く心に残ったようで、自分からこの本を持ってくることはありません。
でも、だからと言って、きらいなお話、とか、何も心に感じるものがなかった、ということではないのですよね。「モチモチの木」が、私にとってそうであったように、そのときは、あまり好んで手に取ることがなかった本でも、なぜかずっと心のどこかに残っていて、大人になって再び目にしたとき、急にあの頃の気持ちが鮮明に蘇ってくることがあります。
娘の「今」の感想を大切にしつつ、長い目で見て、本選びもしたいな、とあらためて思いました。