せなけいこさんの作品の中でも“ねないこだれだ”に
近い印象を受けました。
というのは、登場するキャラクター、文章、はたまた
表紙カバーの触り心地に至るまで、角がなく柔らかい印象で
受け入れ易い点が共通しているからでしょうか。
昔の人が思い描く“かみなり”ってものは、という書き出しで
登場する“とらのかわのふんどし”に太鼓をしょった、絵に描いた
典型的な“かみなり”さんはとても愛嬌があります。
“おもちゃのたいこ”を持ったぼうやが、おやじを真似して
“ころころ ぺかぺか”なんて表現も微笑ましいです。
雲の上にいるものがうっかり落っこちるなんて話しは、いつぞやも
読んだぞと思う定番の展開ですが、落ちた先で素敵なトンチが
効いていて、まるで落語を聞き終えたような読後感です。
息子は「もう終わり?」と、オチが理解できなかったようで、
呆気なく感じたみたいでしたが、絵本によく出てくる“かみなり”
のイメージがこの本で定着したのではないかと思います。
“おへそ”を出していると“かみなりさんに取られる”という
迷信を刷り込まれ怖がっていた息子も、ちょっとは
“かみなり”さんが好きになったかな。