「自己犠牲の美徳」という言葉は今の時代にそぐわないかもしれませんが、
色んな場面で「辛抱」「我慢」はつきまとうのがこの世の中。
大人だってつらいものです。
色とりどりですが寂しさを含んだ花さき山の花々。
涙の露から花が咲く、
良くも悪くも日本独特の美学を感じます。
こんな儚いものでも美しいから心の支えになるのですね。
滝平二郎さんの繊細な切り絵と、
斎藤隆介さんの美しい日本語とともに、
日本人ならではの心意気を伝えていきたい一冊です。
小さい頃読んだときには、
双子の兄の場面がたまらなかったですが、
最後の場面の両親の笑顔で、
あやも愛されてるんだな、と
救われた気持ちになったのを覚えています。
なにより、一面の花さき山のページの美しいこと!