子どもの頃から、
誰かのためにやさしくすること、我慢すること。
そういうことが私は、偽善者みたいでなんだか嫌でした。
子どもなのにしっかり挨拶できる子、大人の言うことをよくきく子も
「大人に迎合しちゃって(迎合という言葉は知らなかったけれど)」
「絶対いい子になるもんか」と、思ってしまうようなかわいげのない子でした。
だから、子どもの頃・・いや、もっと大人になってからも、もしこの絵本を
読んだならば「けっ」と思ってしまったはずです。
それなのに。
それなのに。
子どもを産んで、いろいろ考えたりするようになってから読んだら(夫が買って
きたのです)心にしみいるようではないですか。あやうく涙しそうになった
ほどです(本や映画を観て涙することもないような人であったのに!)。
美しい絵本です。重たい絵本です。
「あんたも大人になったねえ」と夫に言われましたが、本当に自分でも
びっくりしました。
誰かのためにやさしくしたい。我慢したい。
そうした尊い気持ちが、やがて見えないところで小さく花咲かすことがあれば
いいなあとひっそり思います。