あさえとあやちゃんが少し大きくなって、あやちゃんの入院を機に、あさえがまた一つ成長するというお話。
妹の自我が出始めると、おねえちゃんは大変になりますよね。
お姉ちゃんだってまだ子供なのに、妹の方が小さいからって我慢しなくちゃいけなくなって。
あさえが幼稚園に行っている隙に、あさえの大切にしているお人形「ほっぺこちゃん」と遊んで元の場所に戻さないあやちゃん。
あさえは、そんなあやちゃんを叱ります。
でも、あやちゃんが入院することに…。突然の入院で、ママはあやちゃんと一緒に病院へ出かけてしまいます。
お父さんが帰ってくるまであさえは一人でお留守番。
雷がなって怖いかった時、大切なほっぺこちゃんを抱き締め、ほっぺこちゃんに語りかけます。
「ほっぺこちゃん、ほっぺこちゃん、あやちゃんはだいじょうぶよね…」と。
さびしかったんでしょうね、あやちゃんが心配だったんでしょうね。
ほっぺこちゃんは、あさえが心細かった時、そばにいてくれて助けてくれたお人形。
お見舞いに行った時、あさえはとっても大切にしていたほっぺこちゃんをあやちゃんにあげます。
あさえが心細かった時、そばにいてくれたほっぺこちゃんをあやちゃんにあげたかったんでしょうね。あやちゃんのお守りとして…。だって、このほっぺこちゃんには、あさえがあやちゃんを思う気持ちが沢山詰まっているんですもの。
子供の心情をよく表現している筒井さんの物語に微妙な表情まで描き出す林さんの挿絵が素晴らしいです。
裏表紙は、病院のベッドで「ほっぺこちゃん」を横において、気持ち良さそうにすやすやと眠るあやちゃんの顔です。林さんの作品は、どれも裏表紙を見ると読み手に心地よい余韻を残してくれます。
また、「はじめてのおつかい」の隠れキャラを見つけるのも楽しいですよ。