中川ひろたかさんと言えば、「ピーマン村」シリーズがつとに有名です。
長新太さんは、「きゃべつくん」「ごろごろにゃーん」等のナンセンス絵本で知られています。
そんな二人が、「泣く」という気持ちに関して、考えさせる絵本として世に送り出した絵本です。
帯にあった中川ひろたかさんの言葉が秀逸でした。
「ぼくは、こどものころは、ひどいなきむしでしたが、
おとなになると、あんまりなけません。
ぼくは、こどものころのように、
まいにち、なけるようなひとになりたいのですが
どうも、うまくいきません。
おとなになってわかったことだけど、
すぐになけるのって、すばらしいことなのね。
まいにちなけるなんて、かっこいいことなのよ。
ひとには、いろんな「なく」があって
いろんな「なみだ」があります。
「なく」ことについて、すこしかんがえてみようかな」
前半は、ぼくが色々な理由で泣くシーンが展開します。
後半は、おとうさん、おかあさんに言及していて、おとなは泣かないと結んでいます。
泣くのは子供の仕事とさえ言われ、子供は、確かに泣くことによって、その辛い思いをきれいさっぱり流しているような気がします。
そう考えると、子供の泣く行為をたしなめるというのは、親の不用な行いなのかも知れません。
素直に自分の感情を泣くことによって表現出来ることは、実は、凄く素敵なことであって、子供の特権と思える、そんな印象を持ちました。
子供と一緒に泣くことについて考える良い機会になり、大人にとっては、子供が何故泣くのかを考えさせられる絵本として、オススメします。