「あるかしら書店」がブレークしている絵本作家ヨシタケシンスケさんの作品を読むと、絵本というよりコミックではないかと思う人も多いだろう。
漫画と同じ表現方法で子どもたちに人気があるのはヨシケタさんが最初ではない。
埼玉県浦和市(現さいたま市)に生まれ、今年(2017年)7月亡くなった、おかべりかさんなどはその先駆者かもしれない。
おかべさんといえば、父である岡部冬彦さんは「アッちゃん」で人気を博した漫画家だったのだから、血は争えないといえる。
漫画だから低級とかいう論は最近では成立しないが、それに至るまでにはやはりおかべさんのような作家の活躍があったからだといえる。
この「よい子への道」は1995年に刊行されている。
「よい子」になるために、してはいけないことを漫画仕立てに描いた作品集で、例えば冒頭の「学校へもっていってはいけないもの」として、「ことばづかいのわるい石」「ひげのはえるくすり」「超強力またたび」「じぶんとそっくりなロボット」という四例があがっている。
それらがひとつの漫画風イラストで描かれていて、そこに登場する子どもたちの表情がなんともいえない。
悪ふざけのようだが、屈託がない。きっとこの世界にはいじめとかもないのではないかしらん。
おかべりかさんが描いたのはあくまでもおかべさんのアイデアだ。
子どもたちに「学校にもっていってはいけないもの」を考えさせると、もっと突飛なものが出てくるような気がする。
それをおかべさんも楽しみにしていたのではないだろうか。