タイトルから勝手な思いこみをして、手に取ることもしていませんでした。
泥団子のお話のような、“作って遊ぼう”的なお話だとばかり思っていました。
山の向こうに住む、見知らぬ国の人々に歩み寄ることもせず、亡き者にする事を考え不幸な戦争が始まりました。
相手の顔(正体)を知らないということは、恐ろしい想像の果てに脅威を感じ、やられる前にやってしまわなければと思うのでしょうか。
戦争が始まりたくさんの犠牲者が出、兵士は疲弊していました。
塹壕の中の緊張する状況で、土塊を集め一人土笛を作る兵士がいました。
土笛の奏でる音色は、切なくも郷愁を感じさせるものでした。
しかし現実は、冬を挟んでの長期戦。
兵士一人一人のため息が聞こえてきそうでした。
一方、山の向こう側の国の兵士の中にも・・・。
「戦争」という言葉で一括りで語られる事を、兵士一人一人の思いに視点を向けて、戦う兵士は誰も喜び勇んで戦場にはいないことを伝えています。
終盤、土笛を持った二人の兵士が出会うページは、あついものがこみ上げてきます。
二つの土笛のハーモニーのように、人間は調和し生きていく道を求め続けなければならないと、改めて思いました。