韓国のたくさんのお話の中で、登場人物たちが、随分警戒し怖がっているのが、トッケビ。
今回はトッケビが何をしたのだろうと、ワクワクしながら読みました。
天涯孤独なトセルは、全財産をはたいて買った牛と一緒に薪売りをし、覇気のないその日暮らしの生活をしていました。
ある冬の日、家路を急ぐトセルと牛の前に森の中から、助けを求めるトッケビが…。
傷ついて術が使えなくなっているトッケビを、あろう事か牛のお腹の中にふた月もいれてやるなんて。
これだから面白い。おもわず気持ちが前のめりになります。
トッケビは入れてもらったお礼を守り、結果トセルは心ならずも仕事に精を出すようになるところが笑えます。
やがて、ふた月を待たずして、不安になるほどの牛のお腹の膨張っぷり。
「なでなでしたくなっちゃうね」と、我が息子。
お腹の中からのトッケビの脱出劇に大笑い。
義理堅く、礼儀正しいトッケビのおかげで、トセルの人生観も変わったようですね。
今回のトッケビは、福をもたらしてくれた良いトッケビでした。
日本の『天下一の馬』の翻案作品だそうですが、韓国の風土を感じながら楽しめた作品でした。
お話は、時代・国を渡って、それぞれの風土に馴染むものに育っていくのでしょうね。
ハン・ビョンホさんの絵は今回もユーモラスでした。
たくさんの魅力的な牛の表情に笑わせてもらいました。