貧困さゆえに何かを盗むというのは今の日本ではあまりないことだと思いますが、戦後の物のない時代にはこういうこともあったのだろうと思うのです。
明らかに生活に疲れ切った母親。それを助けたいと願う子どもたち。前半と後半では母親の表情が全く違います。
豊かさの中で見えなくなっているものがあるとしたら、こうした家族のつながりや愛情のこもったやりとりなのかもしれません。
私たちは今年大きな震災を経験し、家族のつながりを深く考えさせられましたが、年末に来てその思いもどこか風化してきている気がしています。
愛情にしろ思いやりにしろ、目には見えないものです。大切なものは目に見えにくく普段は感じにくい、そうしたものを絵本は私たちに見せてくれるそんな気がします。
家族の温かさだけでなく、ケニーさんの粋な計らいも心を打ちます。
高学年で読んでみたい本です。