子供好きの勇敢で心優しいダチョウのエルフのお話し。
はじめは、版画の絵が、ちょっと地味な印象を受けましたが、迫真の戦いのシーンでは、エルフの足がもぎ取られたにも関わらず、かえってシンプルなカットが、グロテスクな印象を与えずに良かったようです。
とにかく、読んでいて子供たちが話しに惹き込まれていくのがよくわかりました。文章に力があり、ぐいぐい引っ張られてゆきます。
なんといっても、心優しいエルフが、一度ならずも、片足になり弱りきった体に鞭打ってまでも、子供たちを黒豹から守りぬく姿が、胸を打たれます。
かつてライオンから子供たちを守ったときに、片足になり、一度は、みんなから忘れ去られたにもかかわらず、誰もたよらず、誰をも恨むことなく、なんとか生きながらえていた哀れなダチョウ。なんで他人の為に、そこまで優しく、強くなれるのでしょうか。
子供たちを再び守りぬいた後、木になってしまったダチョウの下に、涙でできた小さな泉がなんとも悲しみを誘います。
いつまでも胸に残るお話です。