少し前に、絵本ナビでいただいたポイントを使って、母にプレゼントした1冊ですが、両親に贈った他の何冊かの絵本同様、「今度は孫のために・・・」と、読み終えた後に航空便で送ってくれました。本当に親というのは、いくつになっても、有り難いものですね!
そんないきさつがあり、この特別な絵本をいつ娘に手渡そうかと、楽しみにとっておいたのですが、今日、自分の誕生日に、遠く日本にいる母への感謝の気持ちを込めて、そして、母親になれた喜びをかみしめながら、娘のために読みました。
私にも、このお話と同じような経験があります。もう中学生くらいになっていたと思いますが(!)、思春期や受験の時期などと重なって、気持ちが不安定になっていたのでしょうね。お風呂に入っていた私は、この女の子のように、「どうしてお母さんはまだ来ないんだろう?」と思ったら、急に心配で心配でたまらなくなり、大急ぎで服を着て、真冬の夜道へ飛び出していったのでした。暗がりに母の姿を見つけるなり、「お母さんが死んじゃったかと思った・・・」と泣きじゃくる私を、母は驚きながらも、「こんなにお母さんのことを思っていてくれるのは、世界中で○○ちゃん1人だけだね。」と言って、母と同じくらいの背になった私の肩をぎゅっと抱いてくれたのを、ついきのうのことのように鮮明に思い出しました。
海外で暮らし始めて20年・・・今まで何度「おかさん おかあさん おかあさん・・・」と、心の中で、あるいは、声に出して、呼んでみたことかわかりません。離れている分、余計に、あれこれと案じたり、取り越し苦労もしてしまうのかもしれませんね。(さすがに母が雪だるまになって北極まで飛んでいってしまったかもとは思いませんが!)
娘も、「おかさん おかあさん おかあさん・・・あっ、おかあさんだ!」という4ページは、いっしょに声を揃えて、最初は小声でつぶやくように、それから泣きそうな声で、そして、最後は思いっきりうれしそうな声で、感情豊かに読んでくれます。
この絵本を読み終えて、母親は、子どもにとって、いつも自分のまわりにある空気のような存在なのかもしれないな、と感じました。母親の話し声も、歩く音も、鍋が煮える音やにおいも、すべてが子どもに安心感を与えてくれるものであり、子どもは決して多くのものを母親に求めたり、望んだりはしていないんだな、と気づかされます。そして、絵本の中で、お母さんが太陽の光に包まれて帰ってくるシーンのように、母親は太陽そのものなのかもしれませんね。たとえ、べらべらとおしゃべりばかりしているお母さんでも、「こげこげ生焼けハンバーグ」を作っちゃうようなお母さんでも!(このお母さん、酒井駒子の「ぼく、おかあさんのこと」に出てくるうさぎのお母さんそっくりで、私自身も親近感がわきます!)
娘に「どうだった?」と感想を聞いてみると、「すてき!」と一言。「どんなところがすてきだった?」との問いには、「いっぱい・・・最後まで!」という答えが返ってきました。そして、「もう1回読みたい?」と聞くと、「4回読みたい!」・・・それくらい気に入ったようです。1番受けたのが、お母さんが雪だるまになって、北極にぴゅーんと飛んでいってしまうページ。
「うそでしょう〜!」のセリフを、毎回面白がって読んでいます。子どもの想像力は、本当に豊かで、楽しいですね! また、お母さんを包んでいる太陽の光が、「おひさまぼうやのタックン」であることに気づいたときには、目を丸くして感動しきっていました。翌朝、女の子が元気にココアを飲んでいる絵でも、髪のゴムが「ふたごのうさぎ ピコタンとポコタン」」と同じ顔をしていることを発見して、「わあ、きっとお母さんが、お薬といっしょに買ってきてくれたんだね!」と喜んでいました。