自分の死期がそう遠くないことをさとったゾウ。
しかし、この年老いたゾウと深い愛情と信頼関係で結ばれている幼いネズミは、年をとったり、病気が重くなったりするといかなければならないゾウの国の話しを聞きますが、ゾウがいなくなることを受け入れることができません。
ある日、ゾウの国へのつりばしがこわれているのに気づきゾウは不安を感じます。ゾウが一度つりばしを渡ったら二度と戻ってこない事を知ったネズミは『いっちゃいやだ』と言います。
また何事もなかったように二匹は暮らしていきますが、ゾウはさらに年老いていき、最後は大好きなバナナも食べようとはしなくなりました。その時、ネズミはゾウがゾウの国に行かなくてはならないことに気づきます。そして、ゾウがむこうの国にいけば幸せになると思えるようになります。
自分がゾウのためにしてあげられること、ゾウが安心して
渡れるようにつりばしを直し、旅立つゾウを優しく見送ってあげます。
愛するものの死を受け入れる勇気、その人のために何をしてあげることができるのかについて考えさせられました。
死をテーマにした本ですが、読んだあとは、ほんわか温かいものに包まれたような感じがします。柳田邦男さんの訳もとても素敵でした。