2012年低学年向け読書感想文課題図書。
当時小2の息子が選んだものの…うーん、難しい…
小5の娘が読み終わって半ばキレ気味に「こんなので感想文なんか書けない!」私も同感でした…
申し訳ありませんが「大人が思いついた夢の絵日記」という感じでした。
まず、大前提として、ストーリー上、主人公が恐竜の世界に行く必然性があまり感じられません。
まあそこは良しとしても、そこから現実世界へと帰って来たときの展開がかなり引っ掛かりました。
主人公が現実世界から、恐竜の世界という異世界へ入り、そこから再び現実世界へと戻ってくる。
その場合、その2つの世界との間には何らかの「結界」が存在する。そのことによって、主人公が物語の最初とは少し違っている、平凡な言い方をすれば「成長している」という点に私は物語としての面白さを感じます。
有名なセンダックの『かいじゅうたちのいるところ』では、現実世界と異世界との時間の流れの違いが「結界」となり、その切り替えが見事に表現されているから、面白いのだと思います。
この本では、主人公が現実世界の公園に戻ってきた時、なぜか彼の友達も彼と同じように恐竜のパジャマを着て、さも今まで一緒に遊んでいたかのように手を振って去って行きます。
読者としては、現実世界と異世界との境が感じられなくなってしまい、結局あれは何だったの?という疑問ばかりが残ります。
じっくりと考えると、このストーリーに対する違和感は、ストーリーの展開の主導権がなぜか主人公ではなく、恐竜のパジャマを着た複数の友達の方にあるためではないかと思いました。そのために、主人公が異世界から戻ってきた時の不自然さが拭えないのです。
作者の松岡氏の、その画才を活かした恐竜の描き方はやはり見応えがあります。それだけにこの絵本のストーリーの分かりにくさが目立ち、残念です。
赤ちゃん絵本の大ヒットを飛ばし、画家としては安定のクオリティを誇る重鎮なだけに、ストーリーは他の方にお任せした方が良かったのではと思ってしまった一冊でした。
小さい子が、図鑑的に楽しむ分には星5つ付けても良いくらいなのですが、以上のような理由で星2つです。