『グリムの昔話』で、「くまの皮をきた男」はお気に入りのお話だったのですが、絵本になってホフマンさんの絵の世界が広がってみると、本当に素晴らしい作品です。
7年間体を洗わず、熊の皮を着たままで生活することを約束した兵隊の心、出会う人たち蔑み、悪魔とは思えない悪魔が、荒いタッチで描かれた絵の中に透けて見えます。
デッサンのような絵の線は、人の心の輪郭まで描いているようです。
親の恩義のために、誰もが嫌がる熊皮の男と結婚することを約束した末娘の心はよくわかりませんが、どんでん返しのハッピーエンド。
男の変身をどのように受け入れたのでしょうか。
悔しがって部屋を飛び出ていった姉たち。
物切れのお話の、その先が妙に気になる私でした。