訳者が村上春樹さんということで目に止まった本です。
ネコ好きの村上さんが米国の書店で目に留めた絵本をすぐそのまま訳してしまった(という話があとがきに記されています)というだけあって、まさに村上さんらしい文章がつづられています。
お話は、米国テキサス州に住む老人とその飼い猫の日常生活を切り取ったもの。
日々淡々と繰り返される、さかな釣り、そしてポテトスープの毎日。
そのなかで、老人とこの猫は、表面上はとてもさりげない、でも心の奥底で深く深くつながっているんですね。
ある日のちょっとした行き違いから、離れてしまった時期。
おじいさんの諦観の底にある悲しみが伝わってきます。
そして再び戻ってきた猫とのやりとり。
そうか、猫ってこういう生き物なんだな・・・。
お互い、言葉が実際に通じているわけではないけど、気持ちはちゃんと通じている。
べたべた仲がいいという間では決して無いけれど、一緒にいるだけで心が和やかになれる関係って、いいですね。
私も年を取って一人暮らしになったとしても、こんな相棒がいたらいいな、と思います。
読後感はとてもさわやかでした。
心和む、いい絵本です。挿絵もとても素敵です。
どちらかというと、大人向けの絵本かもしれませんね。