どうしてもうまく弾けない。でもどうしていいのか分からない。
ゴーシュの弾くセロの音に足りないものは何なのか?ゴーシュ自身にもそれがわからぬまま、ゴーシュは夜ごとセロを弾く。
次々とやってくる動物たち。ゴーシュは激しい感情もそのままに、自分の「思い」をぶつけるように夢中でセロを弾く。そうとは気づかないままにゴーシュの弾くセロの音は変わっていく。ゴーシュの動物たちとの、穏やかならぬ激しいやり取りは、張り詰めたような真剣さ、まっすぐさ、何にも覆われない生の感情を思い起こさせる。まっすぐな、心の底からのあるれる感情を呼び起こしつつ、ふしぎな達成感を感じられる絵本である。