「つるのおんがえし」というと、どうしても嫁になる娘の女性像と、鶴をたすけた男の所作が気になるのですが、このお話を読んでいて、心を羽でくすぐられるほどゾクゾクっとしてしまいました。
なんと、あの『ラプンツェル』の水口さんの絵ではありませんか。
絵は感性的な領域に踏み込んでしまって、ちょっと読み聞かせできないほどに動揺してしまいました。
あの「つるのおんがえし」が、昔話からきらびやかでノスタルジックなロマンに変貌しています。
若者像には孤独感はあるけれど、貧しさはあまり感じません。
登場する殿様と大広間は、なんともめくるめく豪華さと鶴の気高さを組み込み、若者の住まいはひなびたたたずまい。
鶴の嫁様は、その舞台の中で宝塚劇のように気高いのです。
ウ〜ン!
お父さんは参ってしまいました。
水口理恵子さんの絵には魔力があります。