2013年刊行。エチオピアの昔話。
村の男たち12人が、粉を挽いてもらいに別の村に行った帰り、人数を数えたら11人になっていた。いなくなった1人を探して大騒ぎになる楽しいお話。
最初に種明かしがされているので、読者は「みんなが探している1人」について、よく知っている。だから、物語があらぬ方向にどんどん突き進んでいくのがおかしくてたまらない。
どういう話になっているかは、是非とも本書を読んで、実際に体験して欲しい。
しかし、現実の生活では、こういうことはよく起こると思った。人は「思い込み」で生きているところがあって、ひとりで思い込んでいる場合と、集団で思い込んでいる場合がある。
それは真実でなかったとしても、みんなが思い込んでいることで、現実となってしまう。この話のように愉快な展開だったらよいが、問題がある思い込みが現実化したら困ってしまう。
非常に哲学的なお話でもあり、生活上の注意喚起ともとれる話でもあり、ただのほら話としても楽しめる。
昔話のすごい魔法を体験した気分だ。