この物語を、初めて読みました。
「かあいそう」と言う蜂雀の口調がなんだか怖く感じ、
どんな話なのだろうと、少し構えて読み始めましたが・・・
降矢ななさんの、どこか懐かしいような絵の中に引き込まれ
いつの間にか、その場所に立っているような感覚になりました。
特に夜のサーカス団の魅惑的な輝きは、そのページを読み会えた後にも余韻が残り
もう一度、と、ついめくってしまったほど。
しかし、なんでしょう。
最後は切なく、やるせない気持ちになりました。
お金を最も重要なものと考えている大人たちには、
兄妹の宝物は、何の価値もないものなのでしょうか。
その時の兄妹の気持ちを考えると、
なるほど、蜂雀が口にしていたとおり
「かあいそう」としか言いようがありません。
けれどもなぜか、不思議なことに、
この絵本に出会えて良かったと 心からそう思いました。
とても残酷な物語なのに、繰り返し読みたいと思うのです。
その理由を、いつか分かる日が来るのでしょうか。