宮沢賢治の作品の中でも、とても有名なこの作品。
ロマンチックなタイトルから、不思議で煌めくような旅のお話だと、勝手に思い込んでいました。
…けれど、結末は悲しいものでした。
ジョバンニが汽車の中でカムパネルラに会った時には、彼はもうこの世にはいませんでした
「ザネリはもう帰ったよ。お父さんが迎いにきたんだ。」
「ぼくわからない。けれども、誰だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸なんだねえ。だから、おっかさんは、ぼくをゆるして下さると思う。」
…自分がどうなったか、自分はどこに向かっているのか、カムパネルラにはわかっていたんですね。
ジョバンニのあの切符は、唯一ジョバンニだけが行ける所、現実の世界へ戻るための切符。
カムパネルラの地図は、遠い場所へいくための地図なんだと思いました。
残された最後の時間。
それは二人にとって長いようで短い、でも永遠のようにも感じられる。
カムパネルラは親友に見送って欲しかったのか、それとも一緒に連れていこうとしたのかは、わかりません…。
カムパネルラが最後に教えてくれたのは、命や幸いについてでした。
そしてジョバンニの「銀河の中を歩いてみたい」という夢も叶ったのです。 大好きな親友と一緒に…
宮沢賢治の描く宇宙、銀河。
ため息が出るほど美しく、漠然とした切なさも感じられました。
私、星めぐりの歌が大好きなんです。
作中に何度か出てきましたね。
さそり座の話は、少しよだかの星に似ているなと思いました。
銀河鉄道からなら、よだかの星も近くで見られるのかしら…
色んな思いを馳せながら、何度でも何度でもじっくり読みたい…浸りたい…
そんな作品でした。