浜田廣介のこの作品は初めて読みました。文章は、もちろん素晴らしいのですが、しまだしほさんの絵にも大変感動しました。外灯が白い蛾にさえも相手にされずに落ち込んだ時の真っ暗なページ・・・ドキンとしました。その他のページも色使いと状況や気持ちの表現がとてもぴったりします。絵本を読みながら、色彩についてこれほどリンクして考えたことはありませんでした。
ちょうど現在の私の心境がこの主人公の外灯と重なります。何のとりえもない中で、一生懸命生きて来ましたが、一体自分の使命とはなんなんだろうと自問自答する日々が続いています。誰かの役に立つことと、自分の願いがぴったり重なったらさぞ幸福でしょう・・!
外灯にとって役目を全うすること。それは人間にとっては死を迎えることと同じように思われます。そういう意味でもこの作品は年齢制限のない、普遍的なテーマを扱っていると思います。子どものための絵本・大人のための絵本・とこだわる方もいらっしゃいますが、大人も昔は子ども・・大人になっても純粋な気持ちを持ち続けるためにも絵本という文化財を大切にしたいと考えます。
最近たくさんの絵本が出版されていますが、深く感動する作品が少なくなってきたように思います。まさに絵と文章で紡ぐ絵本の世界にぴったりの作品でした。