2013年ニッサン童話と絵本のグランプリ童話部門最優秀賞受賞作品です。
滋賀県草津市在住とのことで、軽快な関西弁が印象的です。
「生まれかわらす」なんて表現、なかなか上級編ですよ。
お母さんの35回目の誕生日、リク君はカレーを作っていたのです。
そこへ、お父さんが帰宅。
お父さんは傷だらけのリンゴを抱えているのです。
台風被害のリンゴを買って、ついでに募金した時に、うっかり、一万円札を入れてしまい、
お母さんへのプレゼントが買えなくなってしまったのですね。
万事休すのお父さんですが、リク君は名案を思い付くのです。
それは、そのりんごでアップルパイを作ること。
その名案に至るくだりは、なかなかの人情話ですよ。
関西弁だからこその、絶妙の会話が、文章も生き生きと輝かせます。
もちろん、ボケ、突っ込みも抜かりありません。
幸せ家族のほのぼのエピソードですね。
リク君、お父さん、どちらも素敵です。
そうそう、林太郎も忘れてはなりませぬ。
リンゴへの愛もさりげなく。
ほんま、みんなわろてる(笑っている)ごっつええ話なんよ。
やっぱ、音読してもろうて文章を耳で聞くんが一番ええと思うんやけどね。