神沢利子:作、スズキコージ:絵です。このコンビの作品というだけで期待は大きく、既に☆4つは獲得です。
文章の調子がいいので、まるで歌うようにスイスイと先に進んでいきます。内容は結構ナンセンスなのですが、七・五調で進んでいく文章の陰に隠れて、なんだか楽しいお話を読んでいるような気になってしまいます。
やまねこぼうやが人や物をどんどん食べていき、とても大きく丸々してしまうところは、なかなかの迫力です。それが、さなぎから蝶が生まれ出るところを小さなうさぎの女の子と見ることによって、ぼうやが本来の姿を取り戻していくところも、なかなか訴えるものがあります。
物語の最初に、やまねこぼうやが急に乱暴者に変貌してしまうのは、おかあさんが過保護でぼうやをがんじがらめにしてしまった反動のようになっているのが、母の身としてはちょっと怖いですね。
絵も話も面白く、子ども達もよく聞いていましたが、途中までは力強く盛り上がっていくのに、最後の締めくくりがちょっと弱いような気がするので、☆は4つとしました。