商店街というのはとっても楽しい。
なんといっても、いろんなお店が並んでいるのですから。
それって、スーパーといっしょ?
スーパーにはいろんな商品が並んでいますが、お店は並んでいません。
魚屋さん、八百屋さん(野菜とか果物を売っているお店のこと)、酒屋さん、クリーニング屋さん、カレー屋さん、それにそれにパン屋さん。
それぞれが別々の家で、そこにはおじいさんがいたり、おばあさんがいたり、おとうさんもおかあさんもいる。
もちろん、子どもだっている。
お店の名前も別々だし、着ている服もちがう。
それでも、商店街のみんなでいろんなことと助け合っています。
難しい言葉でいえば、共同体。
でも、商店街はお店のことだけで共同体ではないんです。
長谷川義史さんの楽しい絵本「パンやのろくちゃん」はそんな商店街が舞台になっています。
「かおがパンパン」のパンやのろくちゃんが主人公。
絵本では珍しいかもしれませんが、絵本雑誌で連載されている作品です。
この絵本には「じてんしゃにのりたいよのまき」「おとしものをとどけたらのまき」「テレビにでちゃったよのまき」「はいしゃさんにいくのまき」の四本の作品が載っています。
商店街の共同体のお話でしたね。
それがよくわかるのは、「じてんしゃにのりたいよのまき」かな。
自転車に乗れないろくちゃんがお店の定休日でお休みのお父さんと自転車に乗る特訓をしています。
でも、ろくちゃん、乗れないんですよね。
そこに酒屋のおじさんが来て、アドバイス。それでも、乗れません。
次はクリーニング屋のおじさん、さらにはカレー屋のおじさん、まだまだいます、うどんやのおにいさん、花屋のおねえさん、肉屋の大将、まだまだ。
ろくちゃんはパン屋の子どもですが、商店街みんなの子どもでもあるのです。
つまり、商店街は大きなおうちみたいなもの。
困った時には助け合ったり、うれしい時にはみんなで喜んだり。
こういう場所は今はなかなかありません。
みんなひとりひとり別々になってしまって、余計なことには口をはさまなくなってしまいました。
それって、なんだかさびしくないですか。
ろくちゃんや商店街の人たちをみてると、うらやましくて仕方がありません。