少年少女の等身大の内面を見事に捉え
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投稿日:2011/03/31 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
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いや〜、読んだ読んだ。
一気に読んだ!という感じです。
ミステリー物が好きな息子ですから、即飛びつき蝋燭の明かりで読んでいました。
追って、わたしも。
原作が1992年初版本です。
日進月歩のコンピュータ技術ですから、専門家からすると、もはや一昔前の操作方法と思われるやも知れませんが、私たち親子にとっては、とても理解しやすい噛み砕いた説明がヴィッキー&ギブ姉弟の会話の中に織り込まれていて、読み澱む事がありませんでした。
銀行員のパパが、コンピュータ操作で自分の口座に百万ポンドのお金を入れたという疑いで逮捕されてしまい、主人公のヴィッキーと弟ギブは事件の謎を解くために、銀行のコンピュータに侵入しようと、大人たちの目をたくみに盗み奔走します。
私が読む直前、息子が「ぼくは、犯人の予想がすぐついたよ。ははは、どうかな?」とムフフ笑い。
わたしも、おおよそ検討はつきましたが、「いや〜、参った参った」と息子に花を持たせてやりました。
ロンドン生まれのブラックマンさんは、コンピュータ関係の仕事を経て作家活動に入られた方だそうですが、主人公ヴィッキーの家庭における養女としての微妙な立場に悩む姿や、弟ギヴや友人チョーシーやヴィッキーを裏切るマギー等の少年少女の等身大の内面を見事に捉え描ききっている作品でした。
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魔女の特徴のまことしやかなこと・・・
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投稿日:2011/03/31 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
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魔女登場の作品は、絵本でもたくさん読みました。
どの魔女も怖いと言うよりは、可愛らしかったり愛すべき弱点があったりと、おどろおどろしい感じとはかけ離れた存在として描かれている作品が多く、どこか安心して読めました。
作者は、ダールさんだし、この作品もきっとたくさん笑わせてくれるんだろうな〜、と勝手に決め込み読みました。
恐るべし、ダールさん!
子供心を掴んでいらっしゃる。
この不気味さスリリングさは、子どもにきっとうけるでしょう。
子どもは怖いもの大好きですもの。
主人公の男の子は、不幸な事故のため両親を失い、ノルウエーのおばあちゃんと住むことに。
おばあちゃんの話してくれる魔女のお話は、「ほかのほとんどのお話と違って、作り話じゃない本当のことだ」とおばあちゃん。
このおばあちゃんの語る魔女の特徴のまことしやかなこと、読んでいてこのおばあちゃんは一体何者?と訝しく思ってしまいました。
そして、ダールさんのこの奇想天外な発想に、いえいえ魔術に見事にかかってしまい最後までいっきに読みました。
魔女の見分け方をおばあちゃんから聞いていた主人公の“ぼく”は、ある日ひょんなことから、魔女の集会を目撃してしまい、魔女たちに見つかり、・・・。
手に汗握る展開に、“ぼく”がどうなってしまうのかが気がかりで、先を急ぎ読みました。
これから先、おばあちゃんと“ぼく”に残された課題(任務)に思いを馳せ、爽やかにお話は閉じられています。
日本の読者からすれば、こんな閉じ方もありなのか、という感想をもたれる方もいるやも知れません。
私と息子は、続編の存在を期待しています。
造語の達人ダールさんの愉快な“魔女言葉”をそのニュアンスを壊さず見事に訳された作品だと思います。
ブレイクさんのあったかくてユーモア溢れる素敵な挿絵も、ダール作品にはなくてはならないものだと、今回改めて楽しみながら思いました。
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短編集!
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投稿日:2011/04/01 |
えみりん12さん 30代・ママ・東京都 女の子3歳
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クレヨン王国月のたまごシリーズの続編で、短編集。ストンストン&妻のパッパカ夫人の話、五郎三のちょっといい話、25人の貧乏神集団の話などなかなかいいかもしれません。ただ、各短編がちょっと短すぎるのがもったいないと思いました。あと、ナルマニマニやアンナの話はすごく切なくて、幸せになれるバージョンを書いて欲しいです
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月のたまごの続々編
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投稿日:2011/04/01 |
えみりん12さん 30代・ママ・東京都 女の子3歳
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本編を10歳のときに全て読みました、これはその続々編。
まゆみとサードの娘、サマースが出てきます。ストンストン&嫁&アラエッサの宴会もなかなか楽しそうで良い。まゆみの詩も本編の切ないものに比べて、おどけていて、幸せそうで、読んでいるこちらが幸せになります。
料理下手なパッパカがぬかどこを持っているところにちょっとウケました。豚とポニーの夫婦は面白いけど、夫婦がナレンナーに評されるところは他人事ながらどきどきします。
そして、アラエッサにもひょっとすると恋の予感、、、?
アラエッサのその後がとても気になりなる一冊です。やはりこれもおすすめ。とにかくシリーズで読んで欲しいです。
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決意の固いジョンを呼び戻そうとは思わず
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投稿日:2011/03/31 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
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タイトルと作者名から、ユーモア溢れる楽しい読み物かと思い手に取りました。
“キッパリ”とした文体の書き出しが、読みやすく笑いをこらえながら読み進めました。
主人公は、おおかみになりたいたれ耳犬のジョン。
おおかみになりたいと思ったきっかけを知り、クスリ。
ここで、やっぱり愉快なお話だと思いました。
ところが、この決意が本気であることを納得したのが、“ジョンは獲物(ウサギ)にガブッと食らいついた”という場面。
これは、マジなお話なんだ、と気を入れ直し読みました。
おおかみの群れに入れてもらうまでの苦労。
犬であるが故のいじめ。
人間の飼い犬だった故身につけた知恵をフルに絞り、奸計に負けず、群れの一員として立派に成長していくジョン。
息子は、途中度々、「ジョン、カッコイイじゃん!」と独り言を言いながら読んでいました。
私もジョンのひたむきさ・優しさ・強さに感激しつつ、野生の中で生きていく決意の固いジョンを、もうこちら(人間界)へ呼び戻そうとは思わず、夢中で読みました。
ラストの閉じ方も少しクスリとさせられ、あたたかい気持ちになりました。
高畠先生の挿絵が、柔らかい描写と鋭く厳しい描写が相まってお話を一層素敵にしていました。
少々長めですので、一人読みなら中学年から・読んでもらうなら低学年からという作品だと思いました。
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「巨人」たちが身近だった国。
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投稿日:2011/04/01 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子15歳、女の子11歳
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あまり見かけたことのないこの絵本。ナビで感想を書いている人なんていないだろうと思っていたら、「はなびや」さんが書いていらっしゃいました!!(仲間がいて嬉しいです)
私はこの本との出会いは先日初めて、あこがれの「東京子ども図書館」へ見学に行ったとき、児童書のコーナーに表紙が見えるように立てかけてあって、その表紙絵に魅せられたからなんです。
「巨人のはなし」しかもフィンランドの昔話って、いったんどんなだろう?
わくわくしながら読みました。
絵本の形態はとっていますが、どちらかというと絵童話風というか、昔話に挿絵を入れたという作りになってます。
目次にはたくさんの巨人のお話のタイトル。ここには全部で13個のお話が載っていました。どれもとても短いお話で、さらりと読めます。
こんなにいろいろ巨人のお話があるということは、
フィンランドの人たちにとって、「巨人」というものが、とても身近な生き物だったんですね〜。そもそものモデルはなんだったのでしょう?
訳者後書きの「この絵本のふるさとフィンランド」も、いろいろ知らないことが書かれていて、面白く読ませていただきました。
日本人にはあまりなじみのない遠い国ですが、
たまにはこんな異国の国の素朴な物語に触れてみても、楽しいと思います。
ちなみに、うちの上の子は、海外、特にヨーロッパに興味を持っているので、
私がこの絵本を見つけて家に帰ると「なに!?フィンランドの昔話?」と食いついてきましたが、
絵本の内容よりもむしろ、後書きの内容を楽しそうに読んでいました。
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とにかく素敵な写真がいっぱい!!
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投稿日:2011/03/30 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子15歳、女の子11歳
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少し小さめなエッセイ風写真集。というところでしょうか?
星野道夫さんといえば、知る人ぞ知る有名な写真家で、児童書や写真絵本なども数多く出版されています。
彼の生い立ちや想いをご自身がとられた写真をバックに、訥々と書かれている文章が、胸に沁み入りました。
また、どのページの写真を見ても素晴らしいものがばかりでした!
特に上の子と感動して大はしゃぎしたのが、雄大な夕焼け空(たぶんアラスカの)と、「ワスレナグサ」という章にカラーで登場しているカモ(?)のひなの写真でした。
あと、内容的に笑ったのは「早春」という章で、たぶん初めてクマにテントを襲われそうになった時の展開を書いてくれているシーン。
大人のエッセイなんて読みたくない。と思うお子さんが多いと思いますが、ほとんどの漢字にはルビがふってあるし、
この作品は「字」よりも「写真」がたくさんのことを物語っているので、
見た目の思い込みに囚われず、ぜひ読んでもらいたい作品です。
特に、将来冒険家になりたいとか、世界でひとやま当ててみたい人とか、写真家になりたい人、動物が好きな人にはお薦めです。
この手のジャンルの作品で、久々に私の中でヒットしました!!
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読後「そんな〜!」という息子の一言
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投稿日:2011/03/31 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
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アステカ時代のメキシコの昔話だそうです。
みすぼらしいちっぽけな体故毎日いじめられているうさぎが、神様に体を「大きくしてください」と懇願します。
神様はしばし考え込んだ後に、なんとも難しい課題をうさぎに与えます。
強いとら・惨いわに・知恵あるさるを自分の手で殺して、その皮を持ってきたら願いを叶えてやろう、というのです。
洋の東西を問わず、昔話の中にはこのような残虐的な行為が淡々と記されている作品が多々ありますね。
大人は、具体的イメージを描き過ぎドキリとしますが、子どもはさらりと聞いています。
この三つの難題を一つずつクリアして行くうさぎの目つきが、段々常軌を逸し鋭く変わっていくのも大人にとっては不気味です。
知略をめぐらし手に入れた皮を三枚担いで、神様の前へ差し出したうさぎですが、・・・。
読後「そんな〜!」という息子の一言。
「神様は約束を反故にしてもよいのか」、という問に「神様との約束などあり得ません。神様と神様に造られたものは対等ではないのだから」
しかしながら、神様はうさぎの仕業にギョッとしたのかも。
自分の造ったものが、自分の予想以上のとんでもない能力を持っていたことに。
「え〜、でもうさぎ可愛そう〜」の一言に、「仮に神様が、こんなことをしでかすうさぎに誰よりも大きい体を与えたら、この世の中の生き物の世界のバランスは間違いなく崩れるでしょう」
あまり納得していない息子でしたが、最後に「うさぎをこれから見たら、うんとかわいがってやろう」
神に造られたものは全て造られた時点で、見事な神の采配で形作られたものなのだ、と思いました。
うさぎの耳が長くなったのは、とら・わに・さるの仲間たちの仕返しに合わぬよう、またほかの大きな獣に虐められぬよう、身の危険を早く察知できるようにとの神の情けとも読めました。
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ラストの兵隊の一言に彼らの本意がチラリ
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投稿日:2011/03/31 |
アダム&デヴさん 50代・ママ・青森県 男の子12歳
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ポルトガルの料理“石のスープ”のお話はたくさんありますね。
「オオカミと石のスープ」でホラーを楽しみ、「しあわせの石のスープ」で、村落共同体を再生する禅宗のお坊さん三人のお話にほっこりしました。
さて、昔話を独特の文体で見事に再現してみせるマーシャ・ブラウンさんは、どんな“石のスープ”のお話を料理したのかとワクワクしながら読みました。
戦争が終わって帰路に向かう空腹の兵隊三人が、小さな村を通りかかり、蓄えがあっても食べ物を少しも恵んでくれぬ村人に、“石のスープ”なるものを作り振る舞おうと呼びかけます。
鍋を用意させ、火をおこし水をくませ、石を持って来させて、・・・。
小さな村の住人たちは、外の世界を知らぬ為、兵隊の「・・・あれば、お金持ちの食卓に並ぶようなスープができるんだがなぁ」「・・・あれば、王様が召し上がるようなスープになるのに・・・」に村人は次々と食材を持ち寄り、・・・。
これもまた「協力を集める為の呼び水」であるスープの力で、兵隊が自分たちのおなかをいっぱいにしたという、クスリと笑えるおはなしでした。
村人の純朴さもこの時代ゆえのことかと思えます。
ラストの兵隊の一言に彼ら本意がチラリと見え、小さい読者さんも笑っちゃうでしょうね。
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表紙絵は和みます。
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投稿日:2011/03/30 |
てんぐざるさん 40代・ママ・埼玉県 女の子15歳、女の子11歳
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私が図書館で借りてきたら、上の子が暇つぶしに読んでいました。
「面白い?」って聞いたら、「う〜ん。普通」という返事でした。
子どもが読んだ後で私も読んでみましたが、確かに三省堂さんが出している作品の割にもう一つ踏み込んだ楽しさ(俳句を作るのって、楽しんだよ〜。みたいな感じ)が、なかったように思います。
「親子で楽しむ」と銘打っているだけに、虫食い俳句の問題を出したり、歌人たちの俳句を例に季節やジャンルに分けて紹介してくれたりしていますが、もう一つ踏み込んだ作り手の「俳句を楽しむ気持ち」が見たかった気がします。
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つつじの赤は炎の恋
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投稿日:2011/03/28 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
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つつじの赤は、燃えるようないちずな恋心だったのですね。
ストレートで無垢な女心は、我をもかえりみず情念の世界に入り込んでしまう。
凄くて怖いお話でもあります。
それは魔性でもあり、狂気でもあります。
でも、この感覚は思春期の軌道上にあるのかも知れません。
五つの山を越えて夜毎に訪ねてくる女。
しばらくは良かったけれど、男は憔悴しきってしまいました。
女の魔性に疑念を抱き、怖れおののいてしまいます。
それは憎しみに変わり、殺意に変ります。
激しい恋の世界は、死と隣り合わせの危険を伴っているのでした。
子どもはどのように感じるのだろう。
凄い絵本です。
多分、成長に従って感じ方も変わってくるのでしょうね。
私だったら、うれしいような怖いような…。
…、やっぱり逃げてしまうでしょうね。
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2人と1匹の関係
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投稿日:2011/03/29 |
ぱかさん 10代以下・その他の方・兵庫県
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まず、おおはしくんは何者なんだろう。
ぼくより一つ年上で、ぼくの頼りにするおにいちゃんにいつの間にかなっていた。
とはいってもまだまだ子どもっけたっぷりなところが、
イラストからも会話からもあふれている。
それは、にたーっと口がゆるむ笑顔であったり、
〜や(!)と一生懸命にしゃべっているようす。
そしてかめた。
言葉も話さず、表情もあらわにしないこの存在が、
ぼくとおおはしくんとの距離をひきちじめる。
2人が、かめたとの経験をとおして絆を深めていく描写が、
とてもリアルにあらわされている。
わたしたちは、なにかへの気持ちを共有しあって、つながりを深めていくのだと改めて感じた。
共有する気持ちが強いほど、互いはかけがえのない存在となっていく。
いっしょに笑える。いっしょに泣ける。2人にとって大切なもののために。
こどもの頃に過ごした友達との、ただ遊んでいるその時間にはこんな力があったんだ。
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郷愁を誘われる物語
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投稿日:2011/03/25 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
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白い子ぎつねを追いかけて狩りをしていた青年が、不思議な世界に入り込みます。
子ぎつねがばけたと解る少年は染物屋。
その少年が指で作った窓からは、子の死んだ母ぎつねが見えました。
青年は少年のすることに心を許し、なんだか安らぎを覚えてくるのです。
少年に染めてもらった指で作った窓には、昔あこがれた女性が映り、自分の記憶で大勢つにしている家や妹や親が映し出されます。
青年の孤独感が見えてきます。
しみじみとしたお話で、心に響いてきました。
織茂恭子さんの絵が、話の世界をみごとに染め上げています。
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日本生まれの作家のコールデコット賞受賞作
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投稿日:2011/03/26 |
ジュンイチさん 40代・パパ・東京都 男の子12歳、男の子6歳
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1994年のコールデコット賞受賞作品。
邦訳は2002年。
アレン・セイを調べたら驚きました。
日本生まれの日系アメリカ人作家・イラストレーターで、本名はジェームズ・アレン・コウイチ・モリワキ・セイイ。
James Allen Koichi Moriwaki Seii
現在はオレゴン州ポートランド在住なのですが、何と、1939年神奈川県横浜市生まれなのです。
日系アメリカ人の母(正しくは帰国子女)と、韓国人の父の間に生まれ、8歳の時に両親が離婚し父親にひきとられています。
12歳の時に青山学院へ通うために母方の祖母と東京都に住むものの、すぐに祖母と同意の上で別れて暮らしたのですが、一人暮らしを始めた時、漫画家野呂新平の弟子となったのです。
そんなルーツを持つセイが描いたのは、祖父の物語。
世界を見てみたいと、セイのおじいさんは若くして日本からアメリカに渡ります。
三週間の船旅でしたが、その頃、日本から外国へ行くことは、非常に珍しいことだったはず。
広大な土地、果てしない畑、工場だらけの街、高い建物だけの大都会、大自然、多様な人種との出会い、接するもの全てが新鮮で魅力溢れるものだったのでしょう。
そして、カリフォルニアで家族を持ち、おじいさんにとって、アメリカも故郷になっていくのです。
しかし、日本のことが忘れがたく家族で日本に帰国するものの、年月が流れると今度はアメリカへの郷愁が沸いてくる、そんな想いを描いた作品です。
この作品がアメリカで受け入れられたのは、遠き故郷への想いを描いたからでしょう。
移民の多いアメリカだからこそ、多くの共感を得たのだと思います。
物語は、最後にセイがアメリカに行くところで終わります。
ルーツを巡ることになるのですが、そんな郷愁を感じずにいられない心に沁みいる作品です。
描かれた絵は、どれも、写真のような美しいものです。
家族の肖像、歴史、自分の生い立ちを辿る絵に、惹かれること間違いありません。
日本生まれの作家が、コールデコット賞を受賞したというのは非常に嬉しいことであり、もっと多くの人に知って読んで欲しい作品です。
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理不尽
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投稿日:2011/03/27 |
ヒラP21さん 50代・パパ・千葉県 男の子14歳
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無実の罪を背負って死罪となった5人の若者。
どうして、村人は人身御供を出さねばならなかったのだろうか。
作者が被差別部落に伝承されている話を基に書いた話は、本文よりも解説において饒舌である。
武士にとって差別民は物同然の存在だったのである。
自分たちが生きるためには、あまりの理不尽を受け入れざるを得なかった時代があった。
芝居で酒乱を働いた武士に手を下した5人の若衆。
度を過ぎたのかどうかはさておいて、武士は町人に嘲られることを良しとしない権力を持っていた。
そのために抜いた刀には、鞘に納めるに足るものがなければならなかった。
その矛先が被差別の民に課せられた。
5人の罪人を作り出さずにはおれなかったのである。
一族の存亡のために、命を投げ出した若者がいた。
これは、若者にとて理解に苦しむ話である。
理解できなければ、事実として受け止めるしかない。
なかったことにするなど、権力の傲慢である。
この絵本を見ていて、思わず吐き出した言葉…。
「江戸末期の史実をもとに作られ、自費出版されていた作品の再版。」と紹介されていた。
再版した出版社においても、極めて運動志向のある性格を持っている。
作者の熱い思いを受け止めなければいけない。
絵を描いている丸木俊さんもまた、世の理不尽を描いている。
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冷戦を描いた異色作
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投稿日:2011/03/26 |
ジュンイチさん 40代・パパ・東京都 男の子12歳、男の子6歳
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2008年のコールデコット賞オナー賞受賞作品。
原題は、「The Wall: Growing Up Behind the Iron Curtain」
舞台は、第二次世界大戦後、冷戦時代のチェコスロバキア。
アメリカに亡命した絵本作家ピーター・シスが、冷戦下のチェコスロバキアでの生まれてからの世界を描いた異色作とも呼べる作品です。
ものごころついてからずっと、絵をかくのがすきだった。
はじめは、いろいろな形。
やがて、人をかいた。
家では、なんでもすきなものをかいたが、
学校では、かきなさい、といわれたものをかいた。
戦車をかいた。
戦争をかいた。
教わったことに、何の疑問ももたなかった。
やがて、教わらないこともあると知った。
という文が、それぞれの絵の下にあります。
絵は、コマ割で描かれていて、どういう事象があったのかが、詳細に描いています。
モノクロに、共産主義のシンボルである赤旗や星が赤で、実に象徴的な構図となっていて、胸を打たれました。
また、所々に、私の日記と称されたピーター・シスの日記のページがあります。
日記のまわりには、当時描かれた絵や写真が散りばめられていて、その世相や、如何にシスが絵が好きだったのかが伺い知れます。
それほど歴史を遡ることなく冷戦下の世界が存在していたことを思い起こすと、今の日本で生活していることの幸せを改めて認識させられます。
平和ボケと言っても過言ではないかも知れません。
こういう史実を伝えること、翻って知ることは、現代を生きる私達にとって必要なこと。
また、伝えていかないと、風化してしまいます。
書籍で知ることも必要ですが、こんな絵本という形式は、史実を伝えると言う点において、実は優れているのではないかと思いました。
その生活が、実に分かりやすく描写されています。
さらに、この絵本が良いのは、ピーター・シスが、常に現状に対して考え疑問を抱き、希望を持ち続けた人物であったと言う点。
この視点があるからこそ、作品が活き、読む人の共鳴を得ることが出来たのだと思います。
対象年齢は難しいですが、中学生くらいからでしょうか。
歴史を考える上で、貴重な副読本としてオススメできる作品です。
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本当に夢?
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投稿日:2011/03/24 |
たっちん★さん 10代以下・その他の方・愛知県
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この絵本には、タブくんという名前の
男の子が出てきます。
タブくんは、服などをすぐに汚して
帰ってきます。お母さんは、
とてもきれい好きなのでいつもすごく苦労します。
いつも服を汚して帰ってくるタブくんにお母さんは、
「そんなことばかりしていると、いつかブタになるわよ。」
と言います。
そんなある日、タブくんは{自分がブタになってしまう}
という夢を見ます。その夢を見て怖くなったタブくんは
次の日から服を汚して帰って来るということは、
なくなるというお話です。
私は、この絵本を読んでタブくんが、
{ブタになった}のは本当に夢なのかなと思いました。
タブくんの{タブ}を反対に読むと{ブタ}になるので、
面白いなと思いました。
こんな風に細かいところまで読むと
気付きにくい所まで気付くことが出来るのが、
本の面白い所だなと思いました。
よく見るととても面白い本なので、
皆さんもぜひ読んでみて下さい。
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サリーがとる最後の手段
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投稿日:2011/03/23 |
たっちん★さん 10代以下・その他の方・愛知県
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この絵本は、一人の男の子がくつやおもちゃなど
いろんな物を並べながら「ごはんよ。」と
呼ぶお母さんのところへ向かうというお話です。
お母さんの所まであと少しという所で、
並べるものがなくなってしまいます。
その時男の子がとった手段とは・・・。
私は小さい時からこの絵本が大好きです。
この次は何を並べるのか考えながら読むと楽しいです。
みなさんも面白いのでぜひ読んでみて下さい。
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本当に賢い女の子がかわいそう、、、
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投稿日:2011/03/23 |
えみりん12さん 30代・ママ・東京都 女の子3歳
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4歳から天才ぶりを発揮しているマチルダは親にはバカ扱いされています。マチルダのすごさに気づいた先生、ミス・ハニーと出会い、飛び級もさせてもらえます。二人は友達になり助け合いますが、そのうちマチルダは念動力を手に入れます。ミス・ハニーの父の遺産を横取りした校長にマチルダが仕返しし、ミス・ハニーは裕福になります。マチルダは逃げ出す犯罪者の父と交渉してミス・ハニーと仲良く暮らせることになります。前半は、「賢いからって幸せになれないのね」と思いますが最後で「やはり頭脳の力で幸せを手に入れられるのね」と思え、後味が大変良かったです。ロアルド・ダールは子供を子ども扱いしないところが素晴らしいです。大人にもおすすめ。
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ジブリのアリエッティの原作
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投稿日:2011/03/23 |
えみりん12さん 30代・ママ・東京都 女の子3歳
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小学生中学年くらいに適しています。ジブリの「借りぐらしのアリエッティ」の原作です。いろんなものを借りて(盗んで)暮らすアリエッティ一家。もう他に小人がいない状況で、アリエッティも借りに参加するようになります。男の子と仲良くなってみたり、お父さんも発見されてしまったり、いろんなおもちゃをもらったり、、、でも数が多すぎて大人の人間に発見されてしまいます。慌てて逃げ出し、野にむかうアリエッティ家族。なんにでも限度が大事と教えてくれているような気がします。同時に、借りられるものは買わなくていいんじゃないかとも思える作品です。アリエッティの映画ファンの3歳の娘がいますが、小学校に入ったら読んであげたいです。
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