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絵本紹介

2022.03.17

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目を凝らせば見えてくる 『夜をあるく』 【NEXTプラチナブック】

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2022年2月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

絵本の中の家族と一緒に体験しているうちに、不思議と自分まで感覚が研ぎ澄まされていくような気持ちになっていき……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『夜をあるく』。どんな内容なのでしょう。

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

目を凝らせば見えてくる 『夜をあるく』

家族4人で訪れる夜の森。そこにあるのは…

  • 夜をあるく

    みどころ

    ママが真夜中にぼくたちの部屋のドアを開け、ささやく。

    「やくそく、おぼえてる?」

    ぼくたちは、おしゃべりもせず着がえ、家族4人で玄関を出る。夏の夜は静かで、アヤメとスイカズラのにおいがする。窓のあかりが輝く大きなホテルの横や、ぼんやりと灯る町はずれの家の前を通りすぎ、どんどん歩いていけば、やがてそこは山のふもと。暗さに目が慣れてくると、感覚がどんどん研ぎすまされていくよう。木の皮のにおい、枯れ枝がぽきりと折れる音、さわさわと揺れる大きな木々の葉っぱ。

    家族4人で訪れる夜の森。そこにあるのは、特別な体験。湖に映る月。草むらに寝っころがって見上げる星空。険しい山道。そして……。

普段とはまるで違う様子をみせる町の中。その前を通りすぎ、どんどん歩く。

深く美しい、青い景色。照らされているのはほんの一部。その暗さはずっと続く。それでも目を凝らしていけば、何もかもがしっかり見えてくる。音やにおいにまで敏感になってくるのです。家族と一緒だからこそ、わくわくできる真夜中の時間。 こんな冒険ならしてみたい……!

フランスから来たこの絵本。たとえ冬だとしても、昼間だとしても、こんな景色が身近になかったとしても。読み終われば、まるで一緒に体験したかのような清々しい気分になれるのです。最後のページのまぶしさを味わいながら、少し計画を立ててみようかと考えてしまいますね。

編集長のおすすめポイントは……

絵本で味わう「特別な体験」

その暗さ、静けさ、におい、明るさの変化。家族と一緒に体験しているうちに、不思議と自分まで感覚が研ぎ澄まされていくような気持ちになってきて。息遣いを意識し、目を凝らす。ぽきりと枯れ枝の折れる音に反応し、さわさわと揺れる木々の葉っぱの存在を感じる。それはもう特別な体験だと言えますよね。やがて訪れる日の出の時間、その光をいっぱいに浴びながら、きっとこの先もずっと思い出す景色になるのだろうと実感するのです。

この書籍を作った人

マリー・ドルレアン

マリー・ドルレアン (まりーどるれあん)

フランスのストラスブールで装飾芸術を学ぶ。その後、作家・イラストレーターとして、児童書に携わる。2019年に、本作“NOUS AVONS RENDEZ-VOUS”でフランスの名高い文学賞、ランデルノー賞(子どもの本部門)を受賞し、フランスの児童文学賞、ソルシエール賞のショートリストにも選出された。

この書籍を作った人

よしい かずみ

よしい かずみ (よしいかずみ)

青山学院大学文学部英米文学科卒業。やまねこ翻訳クラブ会員。絵本の翻訳に『おばけやしきなんてこわくない』(国土社)、『神々と英雄』『ころころコアラちゃん』(大日本絵画)、『クララ』『介助犬レスキューとジェシカ』『カールはなにをしているの?』(BL出版)など多数。東京都在住。

よしい かずみ 作品一覧

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)がある。

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