テレビで話題!いま、かんがえてみませんか?
- ためしよみ
絵本紹介
2022.12.25
私がパジャマにきがえるころ、ママは、でかける。大切な仕事に行くんだ。 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『よるのあいだに…』。夜間にはたらく人たちの仕事を魅力的に描くこの絵本、どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
夜ごはんのあと、私はパジャマにきがえて歯をみがく。
パパは洗いものをして、ママは手をふる。
「いってきます」
ママはこれから大切な仕事に行くんだ。
ママだけじゃない。夜のあいだに仕事をしている人たちはたくさんいる。
昼間たくさんの人が働くビルを掃除するサミーさん、ビルの管理するジョルジオさん。みんなが安全に暮らせるようにパトロールする警察官のハッサンさんとアミーナさん。24時間営業のスーパーや、夜のうちに荷物の配達をするラビさん、朝食を買いに来る人のために焼きたてパンを用意するルイージさん。町にはあかりがいっぱい。工事現場も救急センタ―でもたくさんの人たちが働いている。
そして、夜のあいだに働く人たちをささえるのも大切な仕事。私のママも……。
知っているようで、知らなかった、多くの人が寝ている間に働いている人々の仕事をテーマにしたこの絵本。描かれている人たちの生き生きとした表情から、とても充実した時間を過ごしていることが伝わってきます。
登場する仕事はお互いに、あるいは昼間に働いている人たちと、どう関わっているのか。その仕事はどんな人たちをささえているのか。昼間とは違う夜の職場の雰囲気は? 街の様子は?子どもたちにもわかりやすく、そして自然と興味がわくような流れで紹介してくれます。
夕焼けの空からスタートし、大きな月が輝き、やがて少しずつ空が明るくなっていき、朝日を浴びながら家に帰っていく。そんな、昼間とはまた違った景色の変化も魅力的。
「わたしがねている夜にも、みんなのためにがんばる人たちがいる」
その仕事のひとつひとつが、みんなの暮らしをささえてくれている。当たり前のことにも聞こえるけれど、自分で気がついて、思い描くのはむずかしいこと。そんな社会の仕組みを想像したり、理解していく力にもなってくれる絵本です。
昨日とはちょっと違う景色?
何ごともなかったように迎えるいつもの朝だけど、今日は街がちょっと違って見える。路地裏のゴミ箱は誰かが片づけてくれたのかもしれないし、この焼きたてのパンは夜のうちに用意してくれたもの。安心して道路を渡れるのも、赤ちゃんが元気そうにしているのも、誰かのささえがあるからこそ。読んだあと、自分の視点が少し変化していたり、関心の幅が広がっていたり。そんなことがあるから、絵本って面白いですよね。
この書籍を作った人
ケンブリッジで本に囲まれて育つ。オックスフォード大学を卒業後、助産師の仕事をはじめる。退職後、2 人の息子と過ごすなかで子どもの本への情熱を再燃させ、作家の道へ進む。作品に「ふたりはなかよし マンゴーとバンバン」シリーズ(徳間書店)、“The Book Cat”、“Building a Home” などがある。ロンドン在住。
この書籍を作った人
ヨークシャーでだいすきな絵を描きながら育つ。ケンブリッジ美術学校を卒業後、作品の制作をして過ごす。チェルトナム・イラストレーション・アワード2017 とブックセラー誌のイラストレーター・ショーケース2018 に選ばれる。作品に“Wild Family”、“Wild Cities”、“Nature’s Toybox”などがある。ヨークシャー在住。
この書籍を作った人
東京で日本語、英語、台湾語を聞きながら育つ。子どもの誕生を機に、児童書の翻訳や創作をはじめる。『木の葉のホームワーク』(講談社)で第60回産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞。翻訳作品に「グレッグのダメ日記」シリーズ(ポプラ社)、「ワンダー」シリーズ(ほるぷ出版)、『ドッグマン』(飛鳥新社)、『木の中の魚』(講談社)、『ちっちゃなサリーはみていたよ』(岩崎書店)などがある。東京都在住。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長として、絵本ナビコンテンツページの企画制作・インタビューなどを行っている。大手書店の絵本担当という前職の経験と、自身の子育て経験を活かし、絵本ナビのサイト内だけではなく新聞・雑誌・テレビ・インターネット等の各種メディアで「子育て」「絵本」をキーワードとした情報を発信している。著書に『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。