絵本紹介
2023.04.05
ノックを3回すると出迎えてくれたのは、ねむらせやのネミイ。彼の手にかかれば……。 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『ねむらせやのネミイ』。ちょっぴり変わったおやすみ絵本、いったいどんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
みどころ
どうやってもねむれない! そんなときは。
森の奥にあるちょっと不思議な家。ノックを3回すると出迎えてくれたのは、ねむらせやのネミイ。彼の手にかかれば、どんな子だってすぐにぐっすり夢の中なんだって。ねむれないっていうのは、ねむけくんがどっかいっちゃったってことみたい。
「きみのねむけくんがちゃあんともどってくるように、ぼくが作戦をたてますからね」
久しぶりのお客さまに、はりきって準備するネミイ。もこもこのパジャマにはちみつ入りのあったかいミルク。それから「ねむねむ おはなし だいさくせん」も。さすがねむらせ検定1級の腕前、と思ったら……あれれ!
はじまりは、ポストに届いたこんな1枚のハガキから。「ねむれなくて おこまりのきみへ」
ハガキの場所に行ってみると、たどりついたのはこんな家。ドアを3回ノックしてみると……
「ねむらせやのネミイ」だと名乗る、こんな子のお出迎え。なんだかとってもはりきってるみたい。なにせ、彼はねむらせ検定第1級。ねむけくんをよびもどす方法ならたくさん知っているらしい。ところが……?
注目の絵本作家・阿部結さんが手がける「おやすみの絵本」は、やっぱりちょっと風変わり。どんなに眠れなくたって大丈夫とネミイは言うけれど。そんなことよりネミイがチャーミングすぎるのです。どうやら彼の中にいる「ねむけくん」はものすごく元気みたい。「きみ」のねむけくんをよびだそうとすればするほど、彼のねむけくんがあっという間にやってくる。
「ああっ!」
自分のねむけとたたかいながら、寝かせてくれようとする彼の滑稽な姿といったら!そんな様子を見ているだけで、なんだか幸せな気持ちになってくるのです。はあー…あんしんあんしん…ゆっくりぐっすり。それではみなさま、おやすみなさい。すみからすみまで、ネミイの愛らしさに包まれた一冊です。
ネミイって誰なのかな
ぼくのことを眠らせようとしてくれるネミイって、いったい誰なのかな? 一生懸命お世話をしてくれているけど、なんだかちょっと頼りない。おかあさんやおとうさんともちょっとちがう。だって、こんなかんしゃく起こさない。でも、ぼくのことはよくわかってるみたい。ぼく、ネミイと友だちになれるかな…もっと一緒に遊びたいな……
さあ、楽しい夢の世界にいってらっしゃい!
この書籍を作った人
1986年、宮城県気仙沼市生まれ。美術教師であった画家の父の影響で、幼少のころから絵に親しんで育つ。パレットクラブスクール、あとさき塾にてイラストレーションと絵本制作を学ぶ。書籍装画や演劇の宣伝美術などを数多く手掛ける。イラストレーションの仕事に、『世界不思議地図 THE WONDER MAPS』(佐藤健寿/ 著 朝日新聞出版)、『サラリーマンのごちそう帖』(藤枝暁生/著 朝日新聞出版)、絵本の作品に『あいたいな』(ひだまり舎)などがある。東京都在住。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。