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絵本紹介
2023.05.16
長年、子どもの本を出版している、出版社の周年をお祝いする連載。今回ご紹介するのは、「指輪物語」シリーズや「ロアルド・ダールコレクション」などの海外の名作児童文学を数多く翻訳出版し、『わすれられないおくりもの』や『おやすみなさい おつきさま』など世代を超えて愛される絵本を私たちに届けてくれる評論社さんです。2023年5月から全国書店にて「75周年フェア」も開催中。ぜひ、本屋さんに足を運んでみてくださいね。
「子どもの頃に読んでもらった思い出の作品」「三世代に渡り愛されている作品」という言葉がしっくりくる評論社の出版物。次の世代にもしっかりと手渡していきたい作品をご紹介します。
みどころ
ブチ模様がトレードマークの子犬「コロちゃん」のしかけ絵本シリーズは、世界中の子ども達のファーストブックとして親しまれています。
その記念すべき第1作目が『コロちゃんはどこ?』。ごはんの時間になってもコロちゃんがいない。ママがさがしにいきます。ドアのうしろかな? ピアノの中かな? それとも……? ドアやピアノのふたなどがしかけになっていて、小さな子の手でもめくることができます。あけてびっくり!思いもよらない動物たちがかくれています。その表情やセリフが何ともユニーク。ぜひ実際にめくって確かめてみてくださいね。
さて、一見シンプルにもみえる「コロちゃん」絵本シリーズの絵やストーリー。小さな子ども達に大人気なのはしかけ以外にもどうやら色々な理由があるようです。まず「コロちゃんはどこ?」「ドアのうしろかな?」など、シンプルな言葉が大きな文字で記されていて、言葉を覚えるのにはぴったり。また、コロちゃんを探すママの目線で進んでいくストーリーが子どもの好奇心と重なり、自然に絵本の世界に入り込めます。一番は、少し力の抜けたユーモア感覚あふれる雰囲気の絵にあるようにも思います。あ、これは一緒に読んでいるママやパパを笑顔にする効果の方が大きいかな?お誕生のお祝いにもオススメです!
みどころ
賢くて、いつもみんなの頼りにされているアナグマ。大変歳をとっていて、知らないことはないというぐらい物知りです。だからこそ、自分が死ぬのがそう遠くはないことも、知っていたのです。
アナグマは死ぬのを恐れてはいません。だけど、残していく友だちの事が気がかりです。みんなへの手紙を書き残したその夜、アナグマは不思議な、そして素晴らしい夢を見たのでした……。
年齢を重ね、経験が増えていくと、「死」というものが、残された人のものであるという事がよくわかっていきます。そして、もちろん「死の悲しみ」は解説できることなんかじゃない、ということも。
この絵本では、残していく者と残されていく者を、前半と後半に分けてしっかりと丁寧に描き、誰の心にも届くように優しく繊細に語りかけてくれています。死を迎えるということは、どういうことなのか。亡くなった人とどう向き合っていけばいいのか。正解なんてないからこそ、それぞれの立場から好きなように読み解くことができるのです。子どもたちにとっても、です。
『わすれられないおくりもの』がロングセラーとして読み継がれている理由は、「アナグマの死」を通して、愛情や友情、知恵を引き継いでいくことの大切さ、そしてそれぞれの生き方までを考えさせてくれるような、その静かな語りかけの魅力なのかもしれません。それでも、この絵本が、悲しみを乗り越える、ひとつの「きっかけ」となってくれたなら嬉しいです。
みどころ
エルフィーとぼくは一緒に大きくなった。
世界で一番素晴らしい犬、エルフィー。
エルフィーのあったかいお腹をいつも枕がわりにし、毎日一緒に遊び、一緒に夢を見た。お兄さんや妹もエルフィーの事が大好きだったけど、エルフィーはぼくの犬だったんだ。
いつしか時が経っていき、ぼくの背がぐんぐん伸びる間に、エルフィーはどんどん太っていき、寝ている事が増え、散歩も嫌がるようになった。老いていったんだ。ぼくは、やわらかい枕をやって、毎晩かならず言ってやった。
「エルフィー、ずーっと、だいすきだよ」
ある朝、目を覚ますとエルフィーは死んでいた。家族はみんな悲しみにくれていたし、ぼくだって悲しくてたまらない。だけど、いくらか気持ちがらくだったんだ。だってそれは……。
愛するペット、愛する家族との死別。それは、小さい子どもにも大人にも、平等にやってくる逃れられない悲しい出来事。がんばって乗り越えることなんてできないけれど、でも気持ちを和らげてくれる方法はあるのだと、この絵本は伝えてくれます。
「だいすきだよ」
そう思っているなら、いつでも伝えてあげたい。言わなくてもわかる、たとえそう思っていたとしても。簡単なことなのに、なかなか気が付けないこと。だからこそ、この絵本の存在はとても大切なものだと感じるのです。
みどころ
そろそろおやすみの時間、チビウサギはデカウサギの耳につかまってベッドに向かいます。そこでチビウサギは聞いてみたくなったのです。
「どんなに、きみがすきだか あててごらん」
そんなのわからないよ、というデカウサギに向かって、チビウサギは腕を思いっきり伸ばして言います。
「こんなにさ」
すると、デカウサギは言います。
「ぼくは、こーんなにだよ」
確かにそれは、チビウサギよりずっと長いのです。チビウサギは精いっぱい背伸びをしてみたり、逆立ちをしてみたり、跳ね回ってみたり。「好き」という気持ちを体いっぱいに表現します。でも、デカウサギは背伸びをしても、ジャンプをしても、やっぱりチビウサギよりずっとすごいのです。だけど……!
小さな茶色ウサギと大きな茶色ウサギ。ふたりは親子でしょうか。友達でしょうか。それとも…。お互いを想う気持ちを競い合う、なんて純粋で濃密な時間なのでしょう。それを言葉にして、全身を使った表現で補い、さらに想像を巡らせて。そのまま疲れて眠りに落ちてしまったチビウサギにデカウサギはそっとささやくのです。「ぼくは、きみのこと……」
この絵本を繰り返し読んでもらうたびに味わう幸福感。子どもたちには、それをいつまでも忘れずにいてくれたら、こんなに嬉しいことはないですよね。
出版社からの内容紹介
チャーリーの町にあるチョコレート工場は、世界一有名。でも、働く人たちの姿をだれも見たことがない、ナゾの工場! そこへ5人のこどもたちが招待されることになった。そして…? 国際アンデルセン賞画家Q・ブレイクの軽妙洒脱な挿画、柳瀬尚紀による渾身の〈新訳〉で贈る新シリーズ・第一回配本。本書を原作とする映画『チャーリーとチョコレート工場』は、ジョニー・デップ主演、ティム・バートン監督で2005年秋公開。
75年の歴史の中で出版されてきた数多くの名作の中から、「今」読んでほしい作品をピックアップしました。子どもの頃に出会った作品も、大人になって読み返すと新たな発見があることも。ぜひ真新しい気持ちで本を手に取り、ページをめくってください。
みどころ
絵本を開けば、そこに広がるのは大きな「みどりのおへや」。
よく見れば、ベッドに寝ているのはうさぎのぼうや。
もう、寝る時間かな。
おへやには、絵の額がふたつ、赤いふうせんに、黒いでんわ。
こねこが二匹いて、素敵なお人形の家もあります。
おばあさんが編み物をしながら、見守ってくれています。
おつきさまもおやすみの時間。
ぼうやは、お部屋の中のひとつひとつに声をかけていきます。
「おやすみ あかりさん」
「おやすみ あかいふうせん」
こねこさんに、てぶくろも、とけいさんもねずみさんも。
ほらほら、だんだん静かになって……
この絵本を読んでいるおともだち、みんなも。
おやすみなさい、いい夢を見てね。
1947年アメリカで初版が発売されて以来、世界中で読みつがれているこの絵本。小さな子どもたちは、この月の光に照らされた、ちょっぴり不思議な雰囲気の「みどりのおへや」が大好きなのです。ぼうやを中心に、まだあかりのついた部屋の場面から始まり、視点は壁にかかった絵の中へ、さらにお部屋の反対側の方へと移り、椅子の上にはいつの間にかおばあさん。ぼうやは一人じゃ寝れなかったのかな……時計の針の経過を見て想像をしながら夜のひとときを過ごします。
そして、ぼうやと「おやすみの儀式」をしながら、だんだんと暗くなる「おへや」と一緒に気持ちのよい眠りへと誘われていくのです。
淡々と、でも耳心地のいい繰り返しの言葉を聞きながら、一方で眺めているお部屋の世界はどんどん広がっていき。暗くて怖いと思っていた夜の世界も、ちょっとだけ素敵に思えてくる……そんな風に、絵本を通して世界中の子どもたちが「おやすみの時間」と仲良くなっていったのかもしれませんね。
出版社からの内容紹介
私たちのこの地球には、いったいどんな人たちが暮らしているんだろう? 体の大きさ、肌の色、顔の形、住んでる家、好きな遊び、話す言葉…。世界にはさまざまな民族、風習、言語、文化などがあることを、やさしく説明。それぞれがちがっていることの素晴らしさを伝える大型絵本。
アダムとイヴの楽園からはじまり、宇宙まで広がるこの世界の様々な「ちがい」を、何度も読み返してもあきることのない精緻で丁寧に描きこまれた絵で表しています。写真で見るよりはるかにわかりやすい絵は必見です。
みどころ
さあ、はじまりますよ! どこまでも広がる彼の世界。
みんな心してページを開いてね。
「もしもだよ、きみんちのまわりがかわるとしたら……
どれが いい?」
そうして男の子が提示するのは、3つの選択。大水に浸っている家と、大雪にうまっている家と、ジャングルに囲まれている家。うーん、どれも大変なことになっている。ダメダメ、深く考えちゃ。ぱっと選んで、どんどんいきますよ。
「ねえ、どれが いい?」
ジャムだらけになるのと、水をかけられるのと、泥んこになるのと。お城で食事か、気球で朝ごはんか、川でおやつ……これは本当に迷う。どれなら食べられる?どれなら我慢できる?どっちがいや?
どこからこんな想像が生まれてくるのでしょう。考えてもみなかった究極の選択ばかり。だって、ねえ。へびに巻かれるのは嫌だけど、魚に飲まれるのも怖いですよ。……だけど、子どもたちはこんな質問が大好きなのです! 見てください、その夢中になっている顔を。真剣に考えて選ぶその姿を。
作者ジョン・バーニンガムの頭の中は子どもそのもの。「いいな」と「いやだな」のギリギリのところを攻めてくるので降参です。楽しいに決まってますよね。誰と読むか、いつ読むか。そのたびに答えが変わってくるのも大きなポイント? 一人で、二人で、大勢で一緒に。いろんな楽しみ方をしてみてくださいね。
出版社からの内容紹介
世界じゅうの人気者、あの「小さなバイキング」ビッケが新しい訳でかえってきました!
あらくれ者のバイキングにまじって、力ではなく頭で勝負する少年の、痛快な冒険物語です。
このシリーズには乱暴な描写はなく、愛と希望と夢がつまっています。
『ワンピース』作者の尾田栄一郎先生が海賊好きの原点と話すのもうなずけます!
出版社からの内容紹介
瀬田・田中訳の集大成
ファンタジー文学の最高峰『指輪物語』が日本で初刊行された1972年から奇しくも50年目の2022年、訳文と固有名詞を全面的に見直した日本語訳の完成形として、本最新版をお届けします。
遠い昔、魔王サウロンが、悪しき力の限りを注ぎ込んで作った、指輪をめぐる物語。全世界に、一億人を超えるファンを持つ不滅のファンタジーが、ここに幕を開ける。
2023年5月中旬より、75周年フェア「ずっと ずっと 読み継がれる本」を全国約200店舗の書店で開催中です。絵本を購入された方には、限定の「コロちゃん」のA5サイズのクリアファイル、読み物を購入された方には「ロアルド・ダール」のシープスキン風の紙でできた特製の栞をご用意しています。
【フェア実施店舗(一部)】
旭屋書店 池袋店
喜久屋書店 北神戸店
ジュンク堂書店 三宮店
丸善京都本店
丸善 博多店
紀伊國屋書店横浜店
フタバ図書TERAイオンモール福岡店
福家書店木の葉モール店
蔦屋書店イオン筑紫野店
紀伊國屋書店福岡本店
TSUTAYA BOOKSTOREマークイズ福岡ももち店
※開催時期は個々のお店にお問い合わせください。
2023年、弊社は創業75年を迎えることができました。
哲学・思想・自然科学の専門書からスタートし、現在弊社の骨格をなす児童書は1968年に刊行をはじめました。自分達が面白いと感じたものを皆さまにも楽しんでいただけたら、と思いながら本を作ってまいりました。
そうしておじいちゃん、おばあちゃん世代から子どもたちまで、広い世代にご支持をいただき、読み継いでいただいていることに、感謝の気持ちでいっぱいです。
これからも変わらぬ姿勢で、一層はげみたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします。