箱のなかにはいっているのは?!
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絵本紹介
2023.06.19
夏。カブトムシにクワガタ、セミやチョウ……虫が好きな子どもたちには、待ちに待った季節がやってきますね。
その生態を把握して、虫が潜む場所探しにはじまり、エサを仕掛けたり、こちらの気配を消して虫が油断しているところにそぉーっと寄っていって……根気よくチャンスを待ち、狙っては逃げられてを繰り返しやっと巡ってくる「つかまえた!」。虫捕りをする子どもたちの粘り強さには、脱帽です。
捕まえた虫をじっくり観察すること、家で飼うことも醍醐味ですよね。でも自然以外の環境には適応しない昆虫もいますし、飼いはじめたものの弱ってしまった、なんてこともあるでしょう。今回ご紹介する本の中には、捕まえ方や飼い方のコツだけではなく、虫の放し方について解説しているものも。ぜひ参考にしてみてくださいね。
また虫に対して大好き!とは言えない、むしろちょっと苦手……というお子さんやママ・パパには、虫たちが主人公のおはなし絵本を。表情豊かな虫たちの姿に感情を重ねてみると、読み終えた後は彼らを見つめる目が少し変化するかもしれません。
そもそも虫にだって本当は感情があるのかもしれない……? まだまだ未知の奥深さが尽きません、虫の世界!
出版社からの内容紹介
カブトムシ、トンボ、バッタ、チョウなど身近に生息する26種の昆虫を、実物の大きさを示しながら丁寧に紹介します。
まず目を奪うのは、繊細なタッチで描かれた昆虫のイラスト。自然がデザインする生きものの素晴らしさを、見事に表現しています。
そして、作者の幼い頃の体験をもとに書かれた文章もとても魅力的です。すべて手描きの文字は、お兄さんの絵日記のよう。子どもたちと一緒に虫とりに行くような目線で、昆虫たちの生態を優しく語りかけます。
生きものへの思いやりがあふれ、図鑑や写真集とは違った楽しさに満ちた作品になりました。
この書籍を作った人
(戸田幸四郎 1931年−2011年)山形県尾花沢市生まれ。都市計画から店舗デザイン、グラフィックまであらゆるデザインを仕事とする。51歳の時、デザイナーから絵本作家に転向。80歳で亡くなるまで42作品を発表。そのどれもがロングセラーとなる。絵はもちろん、ひらがなまで全てをデザインした『あいうえおえほん』は累計100万部を超え、日本の知育絵本の草分けと評されている。他にも宮沢賢治・太宰治などの文に重厚な絵を描いた名作絵本集や環境をテーマにした創作絵本集など出版。静岡県熱海市には自身が建築デザインから手がけた戸田幸四郎絵本美術館がある。
出版社からの内容紹介
家の庭、近所の空き地、公園の林や池のそば、田んぼや畑、川のまわりでは、虫やトカゲ、カエルなどの生きものが、たくさん見つかります。見つけると、つかまえたくなります。でも、つかまえるのは意外にむずかしいもの。そして、たとえつかまえても、つれて帰るのは注意が必要です。うっかりすると、小さな生きものはすぐに死んでしまいます。でも待って。飼いにくい生きものは、持ちかえらないでくださいね。うまく持ちかえったら、その生きものに向いた方法で飼ってみましょう。飼って観察してみると、生きもののことがいろいろと分かります。この本を読むと、身近な生きものの見つけかた、つかまえかた、持ちかえりかた、飼いかた、観察のポイント、飼えなくなったときの放しかたなどが、ひと目でわかります。
出版社からの内容紹介
アゲハチョウ、テントウムシ、カマキリなど、身近な昆虫が卵から成虫になるようすを、ひとつひとつ克明な生態画で描いたライフサイクルのえほんずかん。
出版社からの内容紹介
昆虫たちはいろんな色。昆虫たちはいろんな形。ちょっとのぞいて見てごらん。びっくり、どっきり!ふしぎだね。卵の模様もびっくりだ。
出版社からの内容紹介
「たいへん!」アリのメアリは、うっかりいねむりをして、ねえさんたちとはぐれてしまいました! メアリは、いろんな生き物たちに「ねえさんたちを、みなかった?」と、たずね歩きますが…。メアリは無事にねえさんたちに会えるのでしょうか? 繊細で美しい切り絵の魅力がいっぱいの、愛らしい絵本。
みどころ
りっぱなクワガタが土をかきわけ、あらわれて木へ。
「またせたな おつきさん
さあさあ みてくれ おれさまを!
かっこいいだろ?」
ぴかぴか光る月の夜、クワガタの素敵な姿に誘われて、夜の虫たちも集まってきました。
カミキリムシやカナブン、蛾たちも。
でもいじわる、けちんぼのクワガタは、他の虫たちを追い散らす。
「おい! おまえたち!
このつきは おれさまのもの
しっしっしっ」
自慢のハサミをふりかざすクワガタですが、ある夜、大きなカブトムシにやっつけられ、ハサミの先が折れてしまいます。
すっかり弱虫になったクワガタ、夜の虫たちの仲間に入れてもらいたくて、泣き虫顔……。
いま注目の作家・竹上妙さんが木版画で描く世界。
虫をとらえた形のかっこよさ、目や体つきの表情のゆたかさ。
青、紫、紺、オレンジ、黄色、緑……。
心をくすぐる、木版画のうつくしさに目を奪われます。
『マンボウひまな日』(絵本館)で絵本作家デビュー後、次々と作品を発表。
生きもののたしかな存在感が、どの作品からも、まっすぐ心地よく伝わってくる作家さんです。
実は、絵本制作のかたわら、学童クラブで子どもたちと過ごすこともある竹上さん。
子ども同士の様子を見ていて、いつもいばりんぼの子が泣いていたときに「きょうは泣き虫」ということばがふっと浮かんだそう。
それから1枚の絵を描き(そのときはカブトムシの絵だったそうですが)、イメージがふくらんで、今作品につながっていったそうです。
いばりんぼも泣き虫も、弱虫も、みんなで遊ぶと楽しい夜になりますね。
最後の数ページは、視点が変わるとともに絵が広がっていく展開があざやか。
虫たちとよい月見をしたような余韻が残る絵本です。
この書籍を作った人
1986年東京都生まれ。和光大学表現学部芸術学科卒業。2007年に長野で牛にかこまれたときの衝撃から、生き物と目があった瞬間の「見たら見られた」をテーマに木版画を制作している。個展、グループ展での発表も多数。2017年『マンボウひまな日』(絵本館)で絵本作家デビュー。主な作品に『みたらみられた』(アリス館)、『あめちゃん』『きょうは泣き虫』(以上、好学社)、『うみのあじ』(あかね書房)、『だんだん だんだん』(ひさかたチャイルド)がある。
出版社からの内容紹介
ジグモのジグモンタは、穴ふさぎが得意な服の修理屋さん。でも、この頃はみんな新しいものを欲しがります。「穴ふさぎなんて、もう役に立たないんだ」。気落ちしたジグモンタは、気晴らしに森に出かけますが……。修理という作業を通じて、古いものを使い続ける意味とともに、物作りの喜びまでもが伝わってくるお話。すぐに新しいものが手に入る今こそ読みたい絵本です。
みどころ
遊んで学べる絵本として大人気、香川元太郎さんの「迷路絵本」シリーズ。
第7弾のテーマは、子どもたちにとっても身近な生き物「昆虫」です。
犬の散歩をしていた子どもたち、虫が集まっている不思議な場所を見つけました。扉がある!なのに開かない。よく目を凝らすと、アリの行列が文字を作っています。解読した文字の通りにすると、扉が開いた!そして奥へ進むと・・・「まてーい!」いきなり目の前に現れたのはサムライ(実は虫の妖精!)、カブト武者。驚いた犬たちは走って逃げだし「虫穴」に入っちゃいました。この虫穴に入ると、体が縮んで虫の国に行ってしまうんだって・・・さぁ大変!カブト武者と一緒に、犬たちを連れ戻しに行かなくちゃ!!
思いがけず扉を開いて踏み込んだ「秘密の虫穴」に始まり、「テントウムシの庭」「チョウの花園」「セミの木」「クワガタムシの林」「ホタルの夜」「トンボの川」「ゲンゴロウの池」「カマキリの草むら」「スズムシの夕暮れ」「アリの地下街」、そして「昆虫の塔」まで。今回は、昆虫の種類や棲む場所・環境ごとに違う全12場面からなる虫の国を、カブト武者と一緒に探検していきます。
歴史考証イラストの専門家として、歴史雑誌や学習参考書などに多数の作品を描かれてきた香川元太郎さん。「昆虫」は対照的なテーマにも思うのですが・・・開いてみて、うなってしまいます!
セミ、クワガタ、トンボやゲンゴロウ、ページいっぱいに動き回り飛び回る昆虫たち、その体や羽根、足、体に生えている毛や体の色まで実に精緻でリアル。本物のようなのにどこか表情もあって、虫たちに可愛さや親しみが湧いてきちゃうから不思議です。草や花々、木の葉や幹、水面も色鮮やかで瑞々しく、まるで切り取られた虫の世界に立っているような感覚が楽しめます。
各見開きページで楽しめる迷路は2つ。簡単に通り抜けられる迷路と難しい迷路、これだけでも十分楽しめるのですが、今回ももちろん、かくし絵とクイズもみどころですよ。
たとえば「チョウの花園」。うららかに咲く花の間をカラスアゲハやナミアゲハなどたくさんのチョウが舞う中に隠れているのはハルゼミ、ツチハンミョウ、ハナムグリなど春の虫たち。クイズでは、ある一匹の幼虫がどのチョウの幼虫かを当ててみて。幼虫やさなぎの生態を学び、さらに同じ環境に暮らすほかの生き物たちにまで知識を広げていくことができるんです。
また登場する虫の名前が細部にさりげなく紹介されていたり、羽化や獲物をしとめる様子が描かれていたりと昆虫図鑑のような要素も詰まっていて、散歩や自然観察にも持ち歩きたくなっちゃいます。
今回も子どもも大人も夢中にさせてくれました、そしてようやく最後の迷路をクリアして、やったー!!と、達成感にひたる間もなく。
「どうじゃ、もう一度虫の国の探検してみんか?」ってカブト武者。「もっと虫探検」やカバー裏の「はみだしクイズ」には、絵本の中に登場する昆虫以外の生き物やグッズについても出題されるんですから、遊び心満載です。
まだまだまだ続く、だからおもしろい、もっともっとじっくり読み返したくなる迷路絵本。
さあ、もう一度カブト武者たちと「虫の国」の旅へ、いってらっしゃーい!
この書籍を作った人
1959年、愛媛県生まれ。歴史考証イラストの専門家。歴史雑誌や教科書などに多数の歴史考証イラストを描く。著書に「透視&断面イラスト日本の城」(世界文化社)など。切手や絵入り官製はがきでも多くの原画が採用されている。かくし絵・迷路制作でも定評があり、著書の迷路絵本(『時の迷路』ほか5冊・PHP研究所)は、シリーズ100万部超のベストセラー。他の作品に『かずの冒険 野山編』(小学館)がある。