箱のなかにはいっているのは?!
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出版社エディターズブログ
2023.10.03
当社では現在Gakkenさんと一緒に、絵本作家ヒド・ファン・ヘネヒテンさんの作品を集めた合同フェアを実施しています。そこでGakkenさんに、ヒドさんのことや、当社で発売中のヒドさんの絵本についてお話しいただきました!
ヒド・ファン・ヘネヒテンさんという絵本作家を知っていますか? 当社で刊行中の絵本『おむつのなか、みせてみせて!』や、「ちっちゃな おさかなちゃん」のシリーズ(Gakken刊)を手がけるベルギーの作家さんです。ベストセラーの絵本を数多く手がけており、世界40カ国以上で翻訳出版されるほど! 「この絵本、読んだ(見た)ことある!」という方もいらっしゃるかもしれません。
『おむつのなか、みせてみせて!』が10万部を突破した際(2020年)に、絵本ナビにてメールインタビューを実施しました。『おむつのなか、みせてみせて!』や、絵本作家になられたきっかけなどをお話しいただいています。ぜひお確かめください。
当社で発売中の『おむつのなか、みせてみせて!』は累計発行部数42万部、「ちっちゃな おさかなちゃん」のシリーズはシリーズ累計発行部数65万部と、おかげさまで多くの読者のみなさまに愛読いただいています(ありがとうございます!)。そこで「ヒド・ファン・ヘネヒテンさんの絵本をもっと盛り上げよう!」と、Gakkenさんと両社の絵本を集めた合同フェアを開催することになりました。
現在全国の一部書店にて、このようにご展開いただいております▽
ぜひ、お近くの書店さんをチェックしてみてくださいね!
ヒド・ファン・ヘネヒテン絵本フェアが開催されるなか、9月14日に当社より絵本『たれみみうさぎのリッキ』を発売しました。
25年ほど前に刊行されたベストセラー絵本で、「リッキ」のシリーズは全世界で累計発行部数300万部を突破しています。「見た目も、性格も、考え方も、それぞれちがっていていいんだよ」と教えてくれる内容は、時間も国も越えて愛される絵本であることを感じさせます。
長年愛され続けてきた『たれみみうさぎのリッキ』の復刊ということで、同じく長年日本をはじめ多くの国で愛されてきた「ちっちゃな おさかなちゃん」のシリーズの担当編集者であるGakkenの北川美映さんに、本作やヒド・ファン・ヘネヒテンさんの絵本の魅力について伺いました!
もう何年も前のこと、私はフランクフルトの国際ブックフェアで、1冊の絵本に心をうばわれました。ベルギーの出版社のブースに飾られた、ひときわ目立つ作品。以前、雑誌の読者投稿ページを担当していた私は、片耳が折れたウサギのキャラクターを起用していました。遠いベルギーにも、このような主人公の絵本があると知って、何か特別な親近感を覚えたのです。
物語の中で、リッキはお友だちにからかわれ、自分のたれ耳にコンプレックスを感じてしまいます。でも、私はこの本の表紙を見た瞬間から「かわいい〜!」と惹きつけられ、みんなとちがうことを魅力だと感じました。この作品は、多様性と自己肯定感の大切さが叫ばれる現代に、ぴったりの内容だと思います。そして、20年以上も前の時代にこの作品を生み出した原作者のセンスに、本当に驚嘆しています。
そんな目で物語を読み進めていくと……リッキのお友だちも、そもそもは、リッキのことやたれ耳が好きで、からかうことでリッキが傷ついてしまったのは、ささいな誤解やおふざけのいきすぎから生まれた事故のようにも思えました。他人の言動を表面的に受けとめ、否定的にとらえてしまうことは、私たちの日常でもよくあることです。でも、この物語は相手の本当の気持ちを理解する心や、楽観的に考えることの大切さも教えてくれている気がしました。
ラストシーンで、みんなであえて同じことをやってみる(多様性の逆をやってみる)奇想天外さ、しかもお決まりのニンジンを使うキュートさは、「リッキさすが!」と思うと同時に、なんというか、胸にじ〜んと広がる、言葉にできない感動を覚えました。
何歳になっても、人とくらべて劣等感を感じたり、努力してもどうにもならないことはあるものですが、この物語は、しょんぼりした心を元気づけてくれることでしょう。
この絵本が、2024年に原作出版25周年を迎える今、日本で復刊されたことが心からうれしくて、同じ出版業界の一員として、誇りに思います。
私の担当している「ちっちゃな おさかなちゃん」のシリーズもそうですが、無邪気で自由奔放、やんちゃなこどもを思いうかべるような、“こども頭な発想”が、ヒド・ファン・へネヒテン氏の作品の魅力だと思います。
ストーリー中に描かれる感情やしぐさ、表情などもそうですが、絵のタッチにも遊び心が見られます。たとえば「おさかなちゃん」では、新聞や包装紙のはり絵のようなテクスチャーが使われています。
「リッキ」ではなんと、グラフ用紙のような紙に描いているのでしょうか。ところどころにのぞいているマス目が、なつかしさをかもしだしています。グラフ用紙のマス目って、大人になると、ノスタルジックでかわいいですよね。計算のない無邪気な試みが、大人の心をゆらし、こどもに与えてみたい1冊となるのでしょう。
色のぬりかたも、登場キャラクターのフォルムも、ページごとの構図も、一見こどもがうれしそうに“ぬりたくったような” and “いきあたりばったりのような” ほほえましさがあって……実はその点が編集者にとっては、印刷のことを考えたり、1冊やシリーズにまとめていくときに、少し難しめな課題でもあるのですが……(笑)。総じて、編集者にこども心を思いださせ、クスクス笑わせる、愛らしい作品ばかりだと思います。
「リッキ」は、ヒド・ファン・へネヒテン氏にとって、絵本作家としてのデビュー初期の、大切な作品だと聞きました。ページのすみずみにまで彼の作風の原点となった要素が満載で、のびのびと描かれた絵をながめていると、涙が出そうな、熱い気持ちがわきおこります。読み返すごとに深みを増していく、素敵な作品です。
株式会社Gakken 出版・コンテンツ事業本部
コンテンツ戦略室 北川美映
いかがでしたか? ヒド・ファン・ヘネヒテンさんのことや作品の魅力が伝わると嬉しいです。ぜひお手に取ってご覧ください!