人気コンビがおくる、新作クリスマス絵本
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絵本紹介
2023.12.20
「子どもに本をたくさん読んでほしい」
親御さんはじめ、そう願っている大人の方は、昔も今も多いですよね。
では、もし子どもから「どうして本を読まなきゃいけないの?」と聞かれたら、なんと答えますか?
子どもに本を読んでほしいと願う大人は、きっと本は良いものであると信じているからではないかと思うのですが、でもなぜ良いものなのかと問われたときに、はっきりと言葉にするのはなかなか難しいですよね。
「本をたくさん読むと語彙力が身につくから」
「読解力(文章を読んで理解する力)はどの教科にも必要な力だから」
「集中力が養われるから」
こうした学習面の効果はよく耳にする理由です。
確かにこれらの効果も大事なことですが、ただ子どもたちが自主的に本を読みたいと思う理由になるかというと、なかなか難しいのではないかと思います。
そこで本記事では、子どもたちにどんな風に本の良さを伝えていったら、子どもたちが本を読んでみようと思えるのかという視点から、子どもたちに本が必要な理由を挙げていきたいと思います。
一人の人間が一生のうちに、体験できることというのは限られています。
とくに子どものうちは、大人の管理のもと、家や学校が主な活動場所となることでしょう。習い事やスポーツクラブなどの課外活動をやっていればそちらも含まれると思いますが、大人に比べると、圧倒的に目の前の世界は限られていますよね。
そんな子どもたちにとって、本は、広い世界への入り口となります。本を開けば、自分とは違った環境にいる主人公の生活を体験したり、世界のさまざまな国の文化やそこで暮らす人たちの思いを体験したり、さらには過去や未来の生活や人々の思いを体験することができます。そのことは、読む子どもたちそれぞれが持っている世界をぐんと広げてくれることでしょう。
世界がぐんと広がると、自分が今いる、目の前の世界がすべてではない、という考え方ができるようになります。さらに、本で知ったことをきっかけに、いつか〇〇へ行ってみよう、いつかこんなことをやってみよう、という未来への希望へと繋がっていくのではないでしょうか。
ここで言う本というのは、物語にかぎったことではありません。自然科学の本、身の回りのさまざまなことを知る社会科学の本、図鑑など知識を得る本も含まれます。「そんなことがあるのか!」という発見や驚きは、子どもたちの世界を確実に広げてくれることでしょう。
みどころ
作者のキリーロバ・ナージャさんは、小学生の時に数学者のお父さんと物理学者のお母さんのお仕事の関係で、5カ国(ロシア・イギリス・フランス・アメリカ・日本)の学校に通いました。
この絵本には、その5つの国の学校に通う時の持ち物、教室の様子、学校での一日などが紹介されています。
みどころ
まだ9歳なのにひとり暮らしで、学校へも行かず、どんどん楽しいことを思いつくピッピは、子どもたちのあこがれの存在です。自由奔放で明るくてたくましいピッピの姿には勇気と元気をもらえます。
読者レビューより
小学生の頃の私の宝物。今でも大切に保管してあります。
子供なのに一人暮らし(正確には馬と猿の3人暮らし)のピッピは
髪はモジャモジャで真っ赤な三つ編み
大きなブカブカの靴を履いて、靴下の色も左右違う。とにかくやること全てが型破り!
そして、超力持ちで、勇気と思いやりを持った女の子。
「怒られないの?」
「恥ずかしくないの?」
「怖くないの?」
私の問いかけにも、ピッピはそばかすだらけの顔でニカっと笑うだけ。
私がやってみたいこと全部ピッピがやってくれました。
(@443さん 30代・ママ 男の子11歳、男の子1歳)
みどころ
イギリスの宇宙物理学者スティーヴン・ホーキング博士とその娘による作品。
主人公のジョージの冒険を通して、宇宙についての知識がつき、科学の大切さを学べます。かなりボリュームのある本ではありますが、途中に挟まれる宇宙の美しいカラー写真によって、ジョージと同じように宇宙旅行をしているような気分にもなれてしまう一冊。科学の入門書としても。
みどころ
主人公のバスチアンは、父親と二人暮らし。学校ではいじめに遭っています。ある日、いじめっ子から逃れるために飛び込んだ古書店で『はてしない物語』と書かれた本に魅きつけられ、本を盗んでしまいます。見た瞬間どうしても欲しくなってしまった本。しかし盗んだことを父親に知られてはいけないと家に帰れなくなってしまったバスチアンは、学校の屋根裏の物置に隠れ、『はてしない物語』を読み始めるのですが……。
前半ではバスチアンのいる現実世界ともう一人の主人公アトレーユが旅をする本の世界「ファンタージエン」の2つの世界が並行して描かれ、後半では、バスチアン自身が「ファンタージエン」の世界に入り込み、さまざまな冒険をしていきます。
読者レビューより
初めてこの本を読んだのは、中学生の頃。何かのお祝いにいただきました。そして、まさに物語にとりこまれ、読み終わるまで、本が一時も手放せなくなり、母に注意されるほどでした。本に入っていく主人公のバスチアンと自分がわからなくなるくらい、夢中になりました。物語が終わるのが、本当に悲しくなるほど好きになった一冊です。
子どもの時に、この本と出会えたことは、私には大きなことでした。
それくらい、大事な本です。
先日、久しぶりに読みましたが、やはりおもしろい。自分の年齢がかわるにつけ、うけとるものも違いますし、ひきつけられるところも変わります。
とにかく、壮大な物語です。
できれば、この本は文庫でなく、ずっしりとした単行本で読んで欲しいと思います。特に子どもが読むならば、バスチアンの持っている本と似たつくりのほうがいいのでは、と思います。本が大事な要素になっている物語ですから。
(あんじゅじゅさん 40代・その他の方)
子どもたちは成長に伴って、いろいろな悩みや問題にぶつかることが増えていくことでしょう。
低学年の頃には、親や先生に相談すれば解決できるようなことが、中学年ぐらいから親にも相談しづらくなったり、誰に話して良いか分からず、ひとりで悩むことが増えてくるかもしれません。そんな時、ぜひ本を味方につけてほしいのです。
たとえば、
友だちとうまくいかないことがあったり、ケンカをしてしまった時
クラスでいじめのようなことがあってどうしたら良いか分からない時
苦手なことや気が重くなることにどう向き合ったら良いか分からない時……。
もちろん、子どもたちひとりひとり、性格も状況も違いますので、答えはひとつではありません。本の中に書かれていることが正しいとは限りません。ただひとつだけ言えるのは、本を読むことで、自分なりのヒントが掴めるのではないかということです。
なにか困った時に本を読んで、本に書かれている言葉や主人公の気持ちや行動に、自分なりの答えを出すヒントを探してみる、その作業を繰り返すうちに、困難にぶつかった時にどう乗り越えていくかを考える力を養っていけるのではないかと思うのです。
みどころ
大人になれば失敗の1つや2つは当たり前。けれども子どもたちにとっては失敗に慣れてないために、よりショックが大きいのではないでしょうか。そんな子どもたちにお話を通して、誰でも失敗すること、どんな失敗でも時間がたてば笑って話せるようになることを教えてくれるお話です。
読者レビューより
一年生の娘が途中まで読んでいたので、そのあと読み聞かせしながら一緒に読みました。ひとりで読むにはちょっと長めのお話なので、低学年の子は一緒に読んであげるといいかなと思いました。
内容は、みんなで失敗のエピソードを話して落ち込んでいる子を励ますという、とてもあたたかいお話でした。特におじいちゃんの失敗談は、時を経ても忘れることのない思い出となって、その後の人生も左右するような大きな出来事になっていたのだと思います。失敗するから開ける道があるし失敗するから今まで以上の自分になれる。
失敗しても大丈夫だよって言葉と共に、こういった具体的なエピソードを子どもが数多く知ることは、とても意味のあることだなと思いました。
(ouchijikanさん 40代・ママ)
みどころ
苦手なことや考えると気が重くなってしまうこと、きっと誰にでもあるでしょう。
「しゅくだい」シリーズは、苦手なことに直面して悩みながらも奮闘する、小学三年生の子が主人公となるお話です。今回のテーマは「さかあがり」。夏休みに、さかあがりの宿題が出て、友達のさとしと一緒にさかあがりの練習をしたけれど、一度もできなかったぼくは、さとしに八つ当たりしてしまいます。もうさかあがりなんて、どうでもいい、練習なんかするもんかって思うぼくでしたが……。
みどころ
四年生の公太は背が低いのが大きな悩み。並ぶ時にはいつも一番前。一方、仲良しの希来良(きらり)は背が高く、手も足も長くて、公太にとってうらやましい存在です。けれども、劣等感なんて持ったことがないと思っていた希来良から「公平がうらやましい」なんて言葉が飛び出して……。いったいどういうこと!?
自分に劣等感を抱いたり、だれかと比べて不公平だと思ったりする気持ちをなくすことはなかなか難しく、その悩みに大きくとらわれてしまうこともあるでしょう。でも視点を変えたり違う考え方を知ることで、少しずつ前に進むことができる。そんな風に子どもたちの背中をそっと押してくれる心強い物語です。
みどころ
1937年の出版以来、多くの人に読み継がれてきた吉野源三郎さんの名作。一時期、マンガ版の発売で大きな話題となりましたが、小学生に手渡すなら、手に取りやすいこちらの児童文庫版がおすすめ。これから出会う人生のさまざまな困難や悩みに対してどう向き合えば良いのか。コペル君と叔父さんの言葉が、きっと心強いお守りになることでしょう。
読者レビューより(『君たちはどう生きるか』マガジンハウス版のレビューより抜粋)
父親が亡くなって、母と暮らす主人公の少年が、学校の友達との出来事を通して様々なことを深く考えていきます。
恵まれた家に生まれているのに、孤独のある友人。
貧しい家に生まれ、同級生にいじめられているのに、心の美しい友人。
その中で自分はどうなのか。
その掘り下げ方が、叔父の力を借りているにせよ、到底中学生とは思えないような深さで、考えさせられます。
読んでいると、昔の日本人がいかに多くのことを学び、知識として得ていたか、現代の自分は、沢山のことを学んできた筈なのに、足りないと痛感します。
最後の方に出てくる、上級生との諍いのエピソードは、何度読んでも心が痛くなります。
それぞれの立場を深く考え、どうすべきなのか、どうありたいかを諭していく叔父や、遠くからそっと見守る母の姿も、偉大で美しいと感じました。
(hime59153さん 40代・ママ 男の子7歳)
以前私が学校司書として関わっていた小学校の卒業生が、学校の広報誌のインタビューで、こんな言葉を寄せてくれました。
卒業生 Kくんインタビュー(和光小学校 2021広報誌「ワコログ」より)
Q.本を読むのが好きになって良かったことは何ですか?
想像力がついたというのが一番大きいです。相手の気持ちを想像できてくるんです。他人の考えが自分と違うというのを考えられるようになりました。小学生のころから癖で、相手がどう考えているかというのを本の登場人物に置き換えて想像しちゃう。こういうシチュエーションであの登場人物はああいうことを考えていたから、この人はこう考えているのかな、とか。それが話し合いとか集団生活をする中で、うまく取り持ったりするのに活きています。なので、想像力が豊かになったことで、対人関係でいい方向に行っていると思います。
あるシチュエーションでの本の登場人物の気持ちを通して、実際の生活でも相手の気持ちを考えられるようになったと言っており、まさに本を読むことで、人の気持ちを想像することができるようになったということを証明してくれるような言葉だと思いました。
本の良さは、普段はなかなか知り得ない、人の気持ちを知ることができるところです。自分と似たような状況に立たされている主人公もいれば、全く違う状況のこともあるでしょう。実際には体験できない感情を本ではさまざま体験することができ、だからこそいろいろな立場や状況に立った誰かの気持ちを想像できるようになります。
人の気持ちを想像できる、ということは、人間関係で何か嫌なことがあっても、いや待てよ、相手は本当はこういうことが言いたかったかもしれない、こういう気持ちだったのかもしれない、と立ち止まって考えることに繋がり、相手を思いやれると同時に、自分も必要以上に傷つかなくて済むようになる、ひいては自分を守ることに繋がるのではないかと思うのです。
みどころ
子どもにも大人にも、大切な問いかけを与えてくれる一冊。運動会のかけっこで、みんなはタマを助けてあげようとするけれど、はたしてタマの気持ちは?「たいせつなのは、あいての気もちになって、かんがえることだぞ。」というカエル先生のことばを実行することはどれほど難しいことなのでしょう。
読者レビューより
子供が学校の図書室から借りてきて知りました。
読んでいて私のほうが感動し、また深く考えさせられました。
しっぽの短いめだか君をいたわるにはどうしたらいいんだろう?
めだかたちは考えます。そして、名(迷?)案を思いついた。
息子にどう思ったか聞いてみたら「途中のスタートの場面が嫌だった」
といってました。
彼なりに、その結論には違和感があったのかもしれません。
大人の私はお話の終わりでジーンときました。
平等ということの難しさ、人の気持ちを推し量るということの大切さを
子供なりに考えるきっかけになったと思います。
大人にも読んでほしい一冊です。
(きゃべつさん 30代・ママ 男の子7歳、男の子4歳)
出版社からの内容紹介
赤でも青でもない、きいろのオニはお手玉が得意です。そんなきいろいオニがある日人間の学校にやってきて友達をつくろうとしますが、子どもたちに、きいろなんて、変なオニ、と言われて悲しくなります。きいろオニは子どもたちに面白がってもらうためにどろだらけになってお手玉をしたり、校長先生にアッカンベーをしたりと、いろいろ無理をしてしまうのですが……。友達に嫌われまいと無理する「きいろオニ」の気持ちを考えながら読みたい一冊。
みどころ
5年生の同じクラスにいる5人のクラスメイトの思いを、「友情」や「自分自身への挑戦」をテーマに描き出した連作短編集。ちょっぴり太めだけど、明るくて前向きな細川糸子をはじめ、美人でクールな女の子、身長が高くてふっくら体型を気にしている転校生など、さまざまな5人が登場して、それぞれの視点から自分のことを語りだします。物語を読み進めるごとに、本人の自分への評価とは違う友だちの見方や、言葉とは違う本心など、5人の新しい側面が見えてくるのが興味深いところ。自分へのコンプレックスや友達関係や家族のことなどで揺れる年齢の子どもたちに。
読者レビューより
5人の小学校高学年の日常を真正面から向き合って描いた、非常に読み応えのある本でした
小学校高学年の児童たちの現実は、こんな風に葛藤しているのでしょうね……
どの子どもたちにも関わりのある主人公、細川糸子が自分の弱点に向き合っていく生き方が、結果的に他の友人たちにも、良い影響を与えているのです
それも、自然体でいかにも格好良いとはいえないのに、輝いて見える……
もしかしたら理想かもしれませんが、こんな子どもがクラスに一人いれば、ずいぶんと救われると思いました
先が知りたくってどんどん読み進めて、あっという間に読めます
小学校高学年以上大人までお勧めです
(風の秋桜さん 40代・その他の方 )
みどころ
「正しいことをするか、親切なことをするか、どちらかを選ぶときには、親切を選べ」
みんなが今よりもほんの少しずつでも親切になれたら、世界はずっとすばらしいものになる。そんなメッセージが心に残る愛にあふれた一冊です。主人公の視点だけでなく、家族や友達の視点でも描かれ、さまざまな人の思いや悩み・葛藤を知ることができるのも大きな魅力です。
本の中にはさまざまな子どもたちや大人、動物たちが登場します。
その登場人物の行動や気持ちを通して、「自分だったらどうするだろう?」「登場人物のようにはできないかもしれない」「この気持ちは共感できる」などと、読みながら自分に置き換えて考えることがたびたびあるでしょう。その置き換えによって、自分の性質や考え方を知っていくということがあるのではないでしょうか。
またさまざま喜んだり、悩んだり、考えを巡らす登場人物の姿を読みながら眺めることで、客観的な視点が身に付き、自分自身のことも客観的に見つめる目が養われていく、そんな力も本によって得られるのだと思います。
みどころ
この本の中心となるテーマは、自分ひとりではなかなか鎮めるのが難しい「怒り」という感情との向き合い方。子どもだって大人だって、誰でもわっーと怒りで気持ちがたかぶってどうにも収まらない! なんてことありますよね。その「怒り」への向き合い方を、ジャムを作るという表現で楽しく教えてくれます。
読者レビューより
くりはらたかしさんのユーモラスでかわいらしいイラストに惹かれ、手に取りました。
ハルくんがプンスカ怒っています。タニくんが待ち合わせの時間にやってこなかったからのようで、どっしん!どっしん!どすどすどす!と足を鳴らして歩いています。
そこに「あなたのプンスカ、ジャムにします」とのれんのかかった車が通りかかって……。
とても気持ちの明るくなるお話でした。プンスカプンスコホニホニプクク!というおまじないも可愛かったです。今度自分もプンスカしてしまったら、このお話を思い出そうと思います。
(クッチーナママさん 40代・ママ 女の子18歳、女の子15歳、男の子13歳)
みどころ
このおはなしの面白いところは、主人公のリクがいじわるなこと。おはなしの主人公って、いい子や大人しい子の方が多いような気がするけれど、でも、いじわるする方の子だって、いろいろな気持ちを抱えていて、本当はいじわるしたくないのに、どうしてこんな行動をしてしまうのだろうともやもやしたり、むしゃくしゃしたりしていることが分かります。リクの気持ちを知り、想像することを通して、なかなか掴みきれない自分の気持ちを考えるきっかけにもなりそうな一冊。
みどころ
「わたしも、大きくなったら、おばあちゃんみたいなお花やさんになりたい!」チイは、いつもお客さんにぴったりの花たばを作る魔法使いのようなおばあちゃんの姿に憧れています。「それなら、じきに、花にためされる日がくることだろうね」おばあちゃんが言うには、チイが花やにふさわしい人間かどうかを、花に試されるテストがあるというのです。はたしてそれはどんなテストなのでしょう。自分が夢を通して、どんなことがしたいのかを考えるきっかけになる一冊。
みどころ
誇りにしていたサッカーの「キャプテンマーク」を、他のチームから移籍してきた大地に渡さなければならなくなった周斗(しゅうと)。キャプテン交替の決定に納得がいかないまま、その後の試合でもチームメイトとぶつかり孤立してしまいます。そんな周斗が思いがけず再会したのは、小さい頃におじいちゃんとよく行った銭湯。薪で沸かしている、まろやかでひのきの香りのするお湯は、周斗のかちかちになっていた心や体をほぐしてくれるのでした。
読者レビューより
子供がサッカーのキャプテンをしており、共感出来る部分があるような気がして、手に取りました。
幼い時からサッカーが好きで、ずっとオレ様サッカーでキャプテンもしてきた主人公が、後から入ってきたメンバーにキャプテンの座を奪われる・・・とても屈辱的な展開です。
そのことに傷ついた主人公・周斗ですが、キャプテンという資質の問題と、自分の態度が他のメンバーに嫌な思いをさせていたことに気付き、さらに凹んでしまいます。
でも銭湯という秘密の癒しの場を得ることで、だんだんと変わっていきます。
その様子がとても自然で、心の動きが鮮やかに伝わってきます。
ラストへの流れも自然で、だんだんとチームの心が一つになっていく様子が見事です。
(hime59153さん 50代・ママ 男の子11歳)
みどころ
野球の才能に恵まれ、傲慢なほど自分に自信を持つ巧が、引っ越し先で、キャッチャーの豪と出会い、大きな影響を受けていきます。自分自身・仲間・家族をめぐっての思春期の揺れる思いや複雑な心情がたっぷり詰まっていて、読む子どもたちも一緒に成長していけるような作品。野球好きの子はもちろん、そうでない子にも野球の奥深さや楽しさが伝わります。男の子だけでなく女の子も楽しめる一冊。
読者レビューより
6年生にブックトークをしたときに選んだ1冊です。
息子は小学3年生のときに、一緒に読み始め(というか取り合いをしながらです^^;)
すっかりハマってしまいました。
この作品は、野球がテーマではなく、子どもと大人の感覚のずれや、子どもたちの人間関係を包み隠さず、描かれていています。
大人は本音と建前があって、子どもと大人のはざ間にいる中学生という微妙な年齢の苦悩や、決して天使じゃないずるい面も持ち始めるところを、ずばりと書かれています。
自分が中学生のころ感じていた不安や不満を思い出しました。
少年が大人へと向かっていく過程を、いろいろな人を通じて書かれているので、子どもたちがその立場になったとき、この本を通じて予行演習になるのではと思いました。
女の子のほうが、人間関係で悩みが多いと思います。
野球が分からなくても読んでもらいたいと、ブックトークで薦めました。
(おるがんさん 40代・ママ)
子どもの本、中でも児童文学というのは、希望を描く文学だということを、さまざまな子どもの本の講座や作家さんたちから教えていただき、よく耳にしてきました。
子どもたちは、生まれてからの時間がまだ短く、認識できている世界も限られた中で生きています。けれどもこの先、自分にはどんな未来が待っているんだろう。ここではない世界にはどんなことがあるのだろう、そういった希望を持って、期待しながら物語を読むのだと思います。
子どもたちは、物語を読むことで、今目の前にある世界が全てではない、という世界の大きさや多様性を感じとることができます。また、周りにいる友だちや人の気持ちについても、複雑で数えきれないほどの気持ちがあることを知ることができるでしょう。他にも、主人公の勇気ある行動や考え方、友情の素晴らしさなど、児童文学に含まれる良いものが、子どもたちの中に流れこんでいきます。
その児童文学から受け取った希望は、やがて、途中で困難に出会ったとしても最後には乗り越えてハッピーエンドになれるという、その子自身の人生においても、明るい信頼に繋がっていくのだと思います。
そうした希望が心にしっかりと根づいていくように、心に希望が灯るような本と出会ってほしいと思います。
みどころ
どんな絶望的状況でも決してあきらめない勇敢なウォートンの姿に、子どもたちは何を感じとるでしょうか。来たるミミズクの誕生日に起こる予想外の展開には、心が大きく揺さぶられます。様々な感情をウォートンとともに体感し、他の登場人物の気持ちをも汲み取ることで、豊かなものが子どもたちの心に育まれるようなステキな作品です。
読者レビューより
以前から気になっていた本なので手にとってみました。
私が読む前に息子が気になって一気に読んでしまったのですが、「いいお話だったよ、途中でちょっと泣いちゃった」と言われ、あわてて私も読むことに(笑)
ごちそうにされるとわかっていながらもジョ−ジと語り合うウォ−トン、少しずつ友達っていいなと夜のお茶の時間を楽しみに思うジョ−ジ。
そして、逃げられることになっても少しジョ-ジのことが気にかかるウォ−トン……ラストはとうとうお互いを思い合っていることがわかり、さわやかな読後感を味わうことができました。
最後に、ようやくお互いの気持ちを確かめ合えたところで、長男もグッときたんでしょうね。食べられないでホッとしたというよりは、2人の気持ちが通じ合ったことへのうれしさからの涙だったのでは、と思います。続編も近いうちにぜひ親子で読んでみたいです。
(カヅオさん 30代・ママ 男の子7歳、女の子5歳)
みどころ
親指で触れたところに花を咲かせることのできるチト少年。そんな「みどりのゆび」を持つ男の子チトが抱く問いや行動は、シンプルで根本的で、心を深く揺さぶります。自分の頭で考えること、行動すること、自分にできる方法で周囲に希望を与えつづけること。大切なメッセージがたくさん込められています。
みどころ
小さな世界から、広くて大きな世界へと飛び出すワクワクした気持ち。どんな状況においても決して負けない勇気と強い気持ち。常に希望を持ち続けること。仲間たちとの友情の大切さ。子どもたちに伝えたい大事なメッセージがたっぷりつまった冒険物語の傑作。
読者レビューより
小5の私が寝食を忘れ、翳った部屋で、まさに読みふけった作品。あのワクワクをよく覚えている。大人になり、三部作だと知って再読。ハードカバー版には冒険の足取り(地図)がついています。
このタイトルの後に『ガンバとカワウソの冒険』、そして書かれた時期としてはこのタイトルの前になりますがシリーズとしては最終巻にあたる(らしい)『グリックの冒険』があります。
引き込まれます。そして読後ずっと頭に残ります。
なんたって小5だった私が今も覚えていて、大人になってシリーズになっている事を知り、今もって無我夢中で読んだのですから。
自然の中のネズミとは、なんと小さい生き物でしょう。
「あぁ、私なら一跨ぎなのに!」 思わず拳を握り締めたくなるような場面もあり、いつの間にかガンバと共にいる自分に我に返ったりします。特に印象的だったカワウソの冒険では、もう始終ハラハラしっぱなし。すごくインスピレーションを貰いました。子供なら尚更だと思います。
再読し、さらに野生のカワウソ会ってみたいなぁなどと、月夜の四万十川に憧れを抱いたり。
一見、娯楽要素が強いようですが、彼らの視点から見た人間世界での生きにくさや自然破壊などは緻密な取材が物を言う骨太な作りです。
現代の子供たちに、ぜひ読んで欲しい。満足して本を閉じる快感を味わって欲しい。
(てぃんくてぃんくさん 40代・せんせい 女の子12歳)
みどころ
いくつもの失敗や苦い体験にぶつかる主人公ハニバルと、そばでいつも厳しくも温かくじっと見守る祖父のやりとり。口先だけでない、深い考察と愛に裏打ちされたポップの言葉は、読む子どもたちが壁にぶつかった時、もう立ち直れないと思うほど落ち込んだときにも、きっと支えになってくれることでしょう。先の見えない暗い道の行く手を照らすあかりのような、希望と温かさに満ちた物語。
読者レビューより
子どもに読んでほしいがために借りてきましたが、まずは読んでみようと、私自らとびらを開きました。
正直、児童書のくくりにこの本をおくのはもったいない。
老若男女、多くの人に目を通してもらいたいって、強く思ったのは、この本が初めてかもしれません。
何十年も生きていても、難なく生きていくことはできません。そんな自分が、親として、壁にぶつかった子どもにどんな言葉をかけてあげられるのでしょうか。いつも迷います。自分なりの言葉を発していますが、それが果たして子どもにひびいているのか……自分の人生経験では、重みのない言葉しか出てこないような、そんな気持ちになってしまいます。
この本のおじいさんのような人がいてくれたら!って、心から思いました。
おじいさんの存在は、男の子を、そして読者を、陽だまりのように、ろうそくのともしびのように、毛布のように、そっとよりそいつつんでくれます。
子どもにもぜひ読んでもらいたいし、私のこれからの人生にもこの一冊。この本があれば、目の前が開けてくるような気持ちにいつでもなれる気がします。
(こりえ♪さん 30代・ママ 女の子2歳)
みどころ
孤児でやせっぽっちで髪の赤いアンは、想像する力で、自分を幸せにする方法を知っている女の子。ときにおしゃべりが過ぎるけれど、明るく真っ直ぐなアンの言動は、周りにいる人たちの心を溶かしていきます。とくにアンの引き取り手となったマリラとマシュウにとって、アンがどんどん大切な存在になっていく様子には温かなものが感じられます。
有名な一節「曲がり角を曲がった先になにがあるのかは、わからないの。でも、きっと、いちばんよいものにちがいないと思うの。」はまさに希望を感じる言葉です。
以上、子どもに本が必要な理由を5つ述べてきましたが、これらをまとめて言うなら、それは「生きる力」ということになるのだと思います。
もちろんそれはスポーツでも、習い事でも、音楽、絵を描くことなどの芸術方面、他どんなことからも、一生懸命取り組んだことから、身につけることができるものでしょう。ですので、読書はたくさんある「生きる力」をつけていくもののうちのひとつなのだと思います。
ただひとつ、他とは違う本の良さをあげるとすれば、それは、自分が元気ではない時、何かにつまづいてしまった時に、とくに力になってくれるということではないでしょうか。つまり本は、「自分を元気にしてくれる薬」ではないかと思うのです。
成長していく過程で、また大人になってからも、誰しも、思いがけないことにぶつかって、悩んだり立ち止まってしまうことがあるはず。そんな時に「本がお守りになってくれる」ということを知っておくだけで、どれほど心強いかしれません。
少し前に、ある記事の中のこんな文章を目にしました。
「子どもたちになぜ本が嫌いなのかというアンケートを18年前から取り続けてきました。その原因は、おおむね3つに集約されます。
3位が『音読で恥をかいた』、
2位が『読みたくない本を読まされた』、
そして1位が『なぜ本を読まないといけないのかを教えてもらったことがない』。」
(東洋経済ONLINE 2023/04/07号 田口幹人さんの言葉より)
本が嫌いな理由の第1位が『なぜ本を読まないといけないのかを教えてもらったことがない』ということだと聞いた時、そうだったのか! と驚き、これは大人がきちんと説明できるようにならなければいけないという危機感を覚えました。
そこから、なぜ子どもに本が必要なのか、私自身がどうして子どもに本を読んでほしいと思うのかについて、ずっと考え続けていました。
もし、大人の方で、今回いくつかあげた理由のうち、ひとつでも共感できるものがありましたら、ぜひそれを子どもたちに伝えていただけないでしょうか。
また、大人の方がそれぞれに、子どもに本を読んでほしいと思ったら、それはなぜなのかをちょっと立ち止まって考えてみて、分かったことがあれば、ぜひそれを言葉にして伝えてみてほしいと思います。
本を読む楽しみをすでに知っている子どもたちには言葉はいらないかもしれません。でもどうして本を読まなきゃいけないのだろう? と疑問に思っている子には、身近にいる大人の方が伝えてくれる言葉がきっとその子に届くのではないかと思います。
そこから、子どもたちが本と、本当の意味で出会う第一歩がはじまるのではないかと思うのです。
秋山朋恵(あきやま ともえ)
絵本ナビ 副編集長・児童書主担当。書店の児童書仕入れ担当、小学校の図書室司書(8年)を経て、2013年より絵本情報サイト「絵本ナビ」に勤務。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選び、さまざまな切り口で紹介している。編著書に「つぎ、なにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。