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SNSで話題!すてきな大人になるために大切にしたい「おやくそく」を紹介する絵本。

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出版社エディターズブログ

2023.12.25

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作家が語る「わたしの新刊」 ことわざがつながって1つの物語に!『むげんことわざものがたり』著者インタビュー (偕成社)

『むげんことわざものがたり』は、これまでに『しょうてんがいくん』『やまがみさまのきょだいべんとう』など、独自の世界が広がる絵本を描いてきた、大串ゆうじさんの最新作。大串さんが得意とするギミックのアイデアでことわざや慣用句をつなげて、一つの物語にした絵本です。このユニークな絵本について、大串さんに「ことわざ」を交えて語ってもらいました!

  • むげんことわざものがたり

    出版社からの内容紹介

    「犬も歩けば棒に当たる」からはじまり、ことわざがどんどんつながって、物語が動き出す!

    ぐうぐう寝てばかりで大きく育った子どもがついに起き、おばあさんとおじいさんの家へたからものを届けることになりました。さて、道中にはどんなできごとがまっているでしょうか?
    口に出して気持ちいい、何度見ても楽しめる、ことわざ・慣用句だけでお話がつづいていくおもしろ絵本です。ことわざ・慣用句を50個掲載。

ことわざがイラストでどんどんつながっていく、というユニークな絵本ですね。 どのようにこの絵本はできましたか?

子どものころからことわざ、故事成語などにはけっこう興味がありました。絵本以外にも、創作活動として絵画作品を制作しているのですが、最初は一枚絵のアイディアとして、「ことわざがつながって構成されている絵ができたらおもしろいかも…?!」と思いつきました。

思い立ったが吉日」ということで、落書き感覚ですぐにラフを描いてみたところ、「犬もあるけば棒にあたる→棚からぼた餅→七転び八起き……」くらいまではスラスラっとできたのですが、その先がなかなかむずかしく……。「ん.……? これおもしろいけど、けっこうむずかしいかも……!」となり、いったん断念。頭のアイディアストック箱にとりあえず保留という形でしまうことにしました。

それでもこのアイディア自体はずっと気になっていて、もしかして絵本にしたらもっとおもしろいかも? と考えるようになりました。 ある日新しい絵本の打ち合わせのときに、この案をあげたところ、「それ、いいですね! とりあえず、ちゃんと最後まで絵本のボリュームでことわざをつなげられるのか、一回ラフを作りましょう! 善は急げです!」といってもらいました。

構成を練っている段階のラフ。本番では使われなかったことわざも何個か登場しています

ことわざとことわざのつなぎには、大串さんらしいギミックも満載で大串さんにしかえがけない絵本だなあと思いました。

ありがとうございます。絵を描くことも好きなんですが、それ以上にアイディアを考えることが大好きで、こういうしかけを考えるのは、楽しいパズルを組み立てるような、ワクワクとした気持ちでとりくめました。

それでもどうしてもうまくつながらない部分も何か所かあったのですが、そういうときは「急がば回れ」で焦らずに散歩したり、子どもと虫取りなんかをしたりしていました。そうすると、急に新しい発想がうかんだり、寝起きの夢のなかのようなボヤ〜っとした頭のときに「ぽん!」とすごい案が思いついたりもします。まさに「果報は寝て待て」だな〜と思いました。

全体的に和の雰囲気のイラストで、絵巻物のようなつくりがこれまでの絵本と違って新鮮でした。なにか参考資料にしたものがありますか。

はい、今回はことわざが題材ということで、和の雰囲気で、ざっくりと江戸時代のイメージで作ろうと思いました。

地元の図書館で浮世絵の画集を借りてきたりして、いろいろと資料を見ました。それまで浮世絵に対してすごく好き! という気持ちはなかったのですが、しっかりと絵をみてみると、まさに「古きを訪ねて新しきを知る」で、構図のデザイン力、配色のセンス、空間の活かし方など、とても勉強になりました。浮世絵すごい! といまさらながら「目から鱗が落ちる」くらいの衝撃がありました。

浮世絵のような、ちょっと古い和紙の感じを表現したかったので、中学校の美術の授業でやったスパッタリング技法(絵の具をブラシにつけて、網の上でこすり、細かい霧状のしぶきを飛ばす技法)を背景などで使いました。新しい描き方に挑戦するのは新鮮な気持ちになれるので楽しいです。

大串さんお気に入りの場面や、これはことわざを絵でつなげるのに苦労したという場面はありますか?

全部の場面に愛着があり好きですが「なきっつらにはち」の顔のアップからの「かっぱのかわながれ」の俯瞰の絵の展開がダイナミックで好きです。「おなじかまのめしをくう」の妖怪たちも楽しく描けた、とても好きな場面です。1ページ目の「いぬもあるけば…」の絵ができたときに、「この感じでまちがいない!」と思いました。

「かっぱのかわながれ」で1度主人公の子が画面から消えて、あとにまた合流するという展開なのですが、この合流部分を絵本の流れとして、読者に違和感なく、どう自然に描くか、というところが苦労しました。

ラフの段階で編集者さんと何回も相談を重ねて今の形になりました。「三人寄れば文殊の知恵」です!(ふたりですが)

「壁に耳あり障子に目あり」や「夫婦喧嘩は犬も食わない」、「ちりも積もれば山となる」、「海老で鯛を釣る」など絵にしたらおもしろいだろうな〜ということわざはほかにもいっぱいあったのですが、つながりや展開を考えて、泣く泣く断念しました。

桃栗三年柿八年」最初に構想が浮かんでからやっと絵本になりました。ことわざとことわざがつながって物語が展開します。「百聞は一見にしかず」、ぜひ絵本をひらいてみてください。よろしくお願いします!

この書籍を作った人

大串 ゆうじ

大串 ゆうじ (おおくしゆうじ)

1976年生まれ。茨城県出身。絵本作家・画家・イラストレーター。多摩美術大学絵画科油画専攻卒業。絵本の作品に『しょうてんがいくん』『やまがみさまのきょだいべんとう』『よなかかいじゅうイビキラス』『ねたあとゆうえんち』『ぼくだけがしっている ヘンテコなきかいのしくみ』『うまにんげん』(作・板尾創路)がある。好きなことわざは「風が吹けば桶屋が儲かる」。

<出版社ページ>偕成社

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